2023年度は、1年間の海外研修のため、イギリスのケンブリッジ大学に滞在した。そして、イギリスのBIDs制度およびBIDsがコロナ禍にどのような影響を受け、対応したかについて調査をおこなった。シェフィールド市、マンチェスター市、ケンブリッジ市を中心にデータを収集し、各BIDのマネージャーにインタビューを行っている。インタビューのデータは文字起こしを終えており、その分析をおこなっている。ただし、シェフィールド市で実施したアンケート調査は有効回答数が少なく、当初の目的としていた分析が困難となった。それに対応するべく、多くの自治体を現地の視察し、BIDsや都市再生に関するデータ収集も概ね順調におこなてきた。その結果の一部は、ケンブリッジ大学の研究会で報告しており、今後、執筆中の論稿を発表する予定である。 また、イギリスは制度スタートから20年で335地区で実施中であるのに比し、日本では制度スタートから5年ほどで1件の地区にとどまっている。その理由を明らかにした研究は現状にはないため、日本とイギリスのBID制度の導入過程に関する相違点から、新たな論稿で日本でBID制度が広がっていない現状も明らかにしようとしている。 これらの論文は2024年度中に発表する予定である。また、研究成果の一部は共同研究による報告も予定しており、共同研究者であるケンブリッジ大学の教授、研究員と毎月2回ほどのミーティングを続けている。2024年度中に学会報告および論文の作成を進める予定である。
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