研究課題/領域番号 |
20K01981
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
向山 雅夫 流通科学大学, 商学部, 教授 (00182072)
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研究分担者 |
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 教授 (60400074)
趙 命来 香川大学, 経済学部, 准教授 (60582228)
渡邉 孝一郎 香川大学, 経済学部, 准教授 (60616671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中小小売商 / 小売技能 / 小売技術 / 中小小売商の競争優位 / ベンチャー商人 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小売商人が職人として遂行するユニークな小売技能を探求することである。さらには、プロフェッショナルな技能を持った小売商人の地位を現実的にも理論的にも再評価し、中小小売商の存在意義並びに発展可能性を明らかにすることが本研究の狙いである。 本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本来想定していた研究会や現地調査を十分に実施することが困難となった。それでもオンライン研究会の活用や大学近辺の小売商人への調査など、工夫をすることで一定の成果を上げることが出来たと思われる。詳細については下記の通りである。 ①第1回目の研究会(2020.10.21)…初めてメンバーが全員揃い、小規模書店と釣具店の仮調査報告と小売技能概念の検討、分析対象の検討などを行なった。また分析対象となる中小小売業の視察も行った。②インタビュー調査(2020.11.12)…小規模酒屋の店主にインタビュー調査を行い、中小小売商の固有の取り組みに関してデータを収集した。③インタビュー調査(2020.1.27)…小規模書店の店主にインタビュー調査を行い、書籍流通の特徴と店主の固有の商業への取り組みに関してデータを収集した。④日本商業学会九州部会での報告(2020.3.7)…上記のインタビュー調査から得られた結果をもとに中小小売業における小売技能概念の検討というテーマで報告し、議論を行なった。 他にも国際ジャーナルへの投稿なども行っており、引き続きメンバー間で役割の調整を行いながら研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ケーススタディによる定性分析を通じた仮説探索型研究であり、初年度(2020年)は鍵概念の整理とインタビュー調査による個別事例の実態把握に研究の力点を置いた。衰退小売業種とされる酒類小売業、書籍小売業において独自性を発揮し繁盛している小規模小売商への調査を行なった。商売を挑む商人の職人的な能力と中小小売商の経営業績とに密接な関連性があることを示唆するものであった。これらの調査の成果をまとめ、国内学会で報告を行い、議論を行なった。さらに国際ジャーナルへ投稿するなど(審査中)、研究目的に向けて計画通りに進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
商人固有の職人的な能力としての小売技能は同業種のみでみられる「特殊技能」と異業種間に共通に見られる「一般技能」に分類できると現時点では考えられる。この小売技能を鍵概念とし、概念的かつ体型的に分析を行う必要がある。そのため、次年度からは、まず、小売技能の概念が実際の現場でどのように観察され、実践されているかを多様な業種を対象にした個別ケーススタディーを通じて分析を行う。次に、各業種の個別ケーススタディを比較横断分析することを通じて多業種間で発生している小売技能の共通点と差異点を明確にし概念の精緻化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた研究会や現地調査が実施できなかったため。
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