研究課題/領域番号 |
20K01982
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
丸山 正博 西南学院大学, 商学部, 教授 (70365865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 流通政策 / eビジネス / 電子商取引 / プラットフォーム |
研究実績の概要 |
デジタルプラットフォーム(以下PFと略す)市場のうち,とくにインターネット広告事業に関する規制について,欧州の規制強化とそれを受けた日本の状況について流通政策文献研究を中心に行うとともに,プラットフォームビジネスの中でも近年の市場成長が著しい定額制のサブスクリプションサービスの利用に関する消費者アンケートローデータを取得した。 前者については,まず近時の欧米と日本のPF規制を概観したうえで,インターネット広告の特徴と競争政策上の問題点を指摘した。具体的には 広告主から広告媒体にいたる取引形態の複雑さや取引関与者の多さ,PF事業者による垂直統合がこれら取引関与者に与える影響,消費者向け広告などで生じる個人情報の取り扱い,アフィリエイト広告における表示の責任主体など多数の問題が存在する。こうした諸問題の解決には,広告主側が広告掲載先を選別やアフィリエイト広告の採用等で既存のPF事業者に対する取引依存度を下げる,PF事業者を含むインターネット広告の取引関与者が自主的取り組みを行うといった企業活動に加えて,競争促進という観点からは独占禁止法上のPF規制のあり方は重要である。そして1980年代後半の日米構造協議以降の独占禁止法上のガイドライン新設や大型小売店出店規制緩和,2000年代後半のメーカーから小売業へのパワーシフトに対応した独占禁止法改正といった流通政策の変化と,共同規制である公正競争規約の特徴を考察したうえで,PFと小売はともに生産と消費を架橋する機能が共通する点に着目することで,今後のPF規制では,独占禁止法における大規模小売業特殊指定と同様のPF事業者に対する特殊指定と,流通・取引慣行ガイドラインに匹敵する新たなガイドラインの新設,およびインターネット広告における公正競争規約の新設のような共同規制の活用が合理的であるという結論を導いたく。 後者についてはデータ整理中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による出張見送りでの情報収集不足。
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今後の研究の推進方策 |
PFに対する流通政策は,個人情報を含むデジタルデータの管理運用や,広告活動にも及ぶ方向性がすでに示されているので,第一には当該分野に関する文献研究を行う。第二に,デジタルプラットフォームビジネスの中でも成長著しいサブスクリプションサービスに関する消費者調査に関する定量分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため出張見送りが続いていること,消費者調査についての費用が不要となった。取り組みが遅れているプラットフォームビジネスの最新動向の聴取のために国内出張を適宜行う予定である。
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