研究課題/領域番号 |
20K01984
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
石川 友保 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (40419031)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 物流 / 倉庫 / 商品配置 / 数理計画問題 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は、配送計画を考慮した倉庫内の商品ロケーション(保管位置)の設計方法を提案することを目的とする。本年度は3ヶ年の研究期間の2年目であり、1年目に検討した概念モデルを基に、分析のための物流活動のモデルを構築した。 本年度は、第一に、職務階級や商品の特性に基づき、倉庫内の商品ロケーションの評価指標を検討した。職務階級には経営者層やスタッフ層があり、経営者層の指標には機器導入コストや人件費や利益、スタッフ層の指標には作業効率や保管効率や作業安全などがあった。また、商品の特性に基づく指標には、出荷頻度、大きさ・重量などがあった。以上で整理した評価指標の中か、配送計画の変更(出荷頻度や品目の組合せなど)による影響が大きいと考えられるものとして、作業効率(作業員の総移動距離)、作業負荷(作業員の総移動距離と貨物の重量を組み合わせた指標)の2つを選定した。 第二、作業効率と作業負荷を定式化した上で、分析のためのモデルを構築した。本研究では、最終的に数理計画モデルと離散系シミュレーションモデルの2つを想定しているが、本年度は簡易的にEXCELを用いて倉庫内の商品ロケーションを評価するためのモデルを構築した。 第三に、簡易的なモデルを用いて数値実験をおこなった結果、作業効率の最小とする場合の商品ロケーションと作業負荷を最小とする場合の商品ロケーションは異なることがわかった。このことは、出荷頻度のみではなく、貨物の重量も踏まえて配送計画や倉庫内の商品ロケーションを決定する必要があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3ヶ年の研究期間の2年目であり、分析のための物流活動のモデルを構築した。2年目の期初に企業へのインタビュー調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症が終息していないことを鑑み、3年目に変更した。しかし、簡易的なモデルを用いた数値実験を先行して実施したことで、研究計画に遅延なく2年目を終えたと考えている。なお、インタビュー調査は3年目の早い段階で着手し、分析のためのモデルに反映させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
3年目(令和4年度)は、2年目に実施予定であった企業へのインタビュー調査をおこう。そして、企業へのインタビュー調査に基づき、2年目に構築した分析のための物流活動のモデルを精査し、さらに数理計画モデルと離散系シミュレーションモデルの2つを構築する。数理計画モデルは物流活動を数式で表すものであり、理論的な最適解を求めるために用いる。数理計画モデルは、モデリング言語AMPL(A Mathematical Programming Language)を用いて構築する予定である。離散系シミュレーションモデルは物流活動をコンピュータ上で表すものであり、実行可能解を求めるため、および物流活動のボトルネックを特定するために用いる。離散系シミュレーションモデルは、シミュレーションソフトWITNESSを用いて構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目期初の計画では企業へのインタビュー調査をおこなう予定であったが、新型コロナウイルス感染症を受けて延期したため、旅費および人件費・謝金が発生していない。また、学会発表を遠隔でおこなったため、旅費が発生していない。これらの旅費および人件費・謝金は、3年目にインタビュー調査と学会発表を実施することで使用する計画である。
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