研究実績の概要 |
本研究では米国消費者を対象に, 彼らの被服(半耐久財)や日本食(非耐久財)に対する購買行動において,「日本産(Made in Japan)」という原産国情報(Country-of-Origin)がどう魅力的であるのか,その理由を製品・サービスおよびブランド特性に焦点を当て検討するものである。 本年度では,インターネット質問紙調査を用い,米国人のエスニシティ(民族および国家に対する集団意識)と日本への同一視の程度(心理的距離の近・遠),あるいは日本国や文化に対するイメージ(良・悪)が「日本産」の評価や購買行動にどう作用するかを検討した。費用の関係から,被服(半耐久財)購買にのみ焦点を当て,日本初のブランド(ユニクロと無印良品)を含む,主にSPAブランドを対象に,米国人のエスニシティとブランドの選考について検討した。調査では,SPAブランドへ関与の高い消費者を選定している(N=738,出現率:54.6%)。 調査の結果,帰属欲求が高い消費者の方が,(国家あるいは民族に対する)エスニシティが高い傾向にあることが明らかになった。加えて,米国人消費者が知覚する日本への“同一視”の程度が,日本に対する価値意識のひとつ,「“国家”・“エンターテインメント”・“人々”に対する好ましさ」と,正に相関することが確認された。その一方で,同一視”は,日本の「“自然”や“文化”への好ましさ」とは負に相関することも確認された。この結果は,自己と日本との“同一視”の程度が高い場合であっても,評価対象によって,好ましさの結果が異なることを明示するものである。特に“自然”や“文化”に関する結果は,自信と異なるからこそ他国の文化を評価する行動(態度)であると推察される。 また調査では,ブランドとエスニシティとの関係も検討した。分析の結果,ユニクロとZARAに関してエスニシティによる評価の違いが確認された。
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