研究課題/領域番号 |
20K02000
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
福田 康典 明治大学, 商学部, 専任教授 (90386417)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マーケティング・リサーチ / 消費者情報 / 情報倫理 / 使用文脈情報 |
研究実績の概要 |
令和二年度(補助事業初年度)は、主に、企業のマーケティング・リサーチによって収集される消費者個人情報のフローとその消費者に対する影響について文献サーベイやケース研究を行い、カスタマイズされたサービスの享受とプライバシー権利の侵害という肯定的及び否定的影響の概念化を進めてきた。 マーケティング論に加え、心理学、社会心理学、情報倫理研究、情報システム研究などを中心に文献サーベイを行い、特に、情報セキュリティや情報リスクといった事象に対する認識や認知がどのような特性を有しているかを考察した。ケース研究としては、FacebookなどのSNS上での利用者情報が第三者により利用された結果がそうしたサービスの利用者知覚に及ぼす影響を雑誌や新聞の記事を使ってテキスト分析し、それらに共通する事象や反応の抽出を試みた。また、地域デザインという文脈で、地域住民の情報フローについても既存の文献や資料を基に理解を進め、それらが政策決定の場でどのように生かされうるかについて考察を行った。これらの研究をまとめたものは、国内の学会での研究報告や研究論文として発表されている。 当初の予定では、本年度はこうした文献サーベイを中核とする研究に加え、企業や地域行政機関のリサーチ担当者や一般生活者に対する非構造的なインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、こうしたインタビュー調査はほとんど実施できなかった。これらは文献サーベイによる研究との相互参照先となるので、感染拡大の状況に応じ、可能な限り取り組んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和二年度(補助事業初年度)の目標は、消費者情報フローが有する肯定的及び否定的影響を文献サーベイや非構造的なインタビュー調査を通じて概観することであった。文献サーベイを通じての研究については順調に進めることができたが、非構造的なインタビュー調査については新型コロナウィルス感染拡大の影響があり、予定していたものはすべて中止となった。 しかしその分、地域デザインという文脈でのより具体的な消費者情報フロー(住民情報フロー)を検討することができたなど文献サーベイ部分での予定以上の進展が見られたため、それらの相殺関係を加味すると事業全体としてはおおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和三年度は、令和二年度に実行できなかった企業や地域行政機関の調査担当者に対するインタビュー調査をいかに効率的に実施するかが研究の進捗を大きく左右すると考えられる。非構造的なインタビュー調査の場合、ある程度の時間、対話を行う必要があるので、依頼しても断られてしまう場合が多かった。感染が終息してくれればこうした危惧は不要となるが、感染拡大が収まらない場合は書面での調査への切り替えやオンラインでのインタビュー調査の実施など通常とは異なる形での探索的調査を実施する予定である。 また、大学などの施設利用が不可能であったりあるいは制限されたりする状況が続いているため、定量的調査の実施においては調査会社にサンプリングを依頼するなどの効率化を図っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた非構造的なインタビュー調査が新型コロナウィルス感染拡大の影響で実施できなかったため、次年度に持ち越しとなった。感染状況の推移によるが、次年度にはなるべくインタビュー調査を実現する予定である(感染状況の終息が見られなかった場合は、他の実施可能な形式に変更する予定である)。
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