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2020 年度 実施状況報告書

取締役の人的資本がM&A取引の評価や会計処理に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K02006
研究機関一橋大学

研究代表者

加賀谷 哲之  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80323913)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード取締役会 / 人的資本 / のれん / M&A / 資本配分
研究実績の概要

本研究の狙いは、取締役会を構成する取締役それぞれの経験や知識・スキルなどから構成される人的資本が、企業によるM&A取引の評価やその後の会計処理に与える影響を検証することにある。このため、本研究では取締役会の人的資本やM&A取引をめぐるデータベースを構築する。2020年度には先行研究の整理とともに、そうしたデータベース構築のために必要となる情報収集やケース・スタディー、分析などを中心に作業を進めた。
こうした分析の一環として、日本企業が実施したM&A取引の事例をとりあげ、それに基づきM&A取引やその会計処理に影響を与える取締役会の人的資本について検討を行った。さらにその検討に基づき、企業担当者や投資家などへのインタビューを行い、データベース構築の基本方針について検討した。それらの検討に基づいて商用データベースの整理を進めていった。
一方で、日本企業が他国企業と比べて、M&A投資をはじめとした資源配分面でどのような特徴を持っているかについて、国際比較を実施し、日本企業の経営者による資本配分をめぐる意思決定の特徴なども同時に整理を行った。整理の結果、日本企業は他国企業と比べて、必ずしも収益性が高くなく、成長性が期待されていない企業が多くの資本的支出、M&A投資などを実施している傾向があることが確認された。その背景には、日本における資本市場の資本配分機能が十分に機能していない可能性があることを明らかにした。特に日本企業の多角化や配当方針、資金調達方針などと深くかかわっていることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19の影響で、オンラインによる講義準備などの負担が大きかったほか、体調を崩したこともあり、データベースの整理などが遅れていたが、事例研究を通じて必要なデータの整理なども明らかになったことから、2020年度末より必要となるデータベースの整理を進めることができている。また情報整理にあたって、定性情報を効率的に整理するための手法が必要であることが確認されたことから、テキストマイニングのソフトウェアを入手し、より定性的な観点からの分析もできるような体制を整備した。

今後の研究の推進方策

2021年度前半で、必要となる取締役会における人的資本およびM&A取引のデータベースの整理を終了させる方針である。それらのデータベースに基づき、取締役会の人的資本がM&A取引やそれをめぐる会計処理に与える影響について多面的に検証を進めていく方針である。2021年度後半から2022年度にかけてEuropean Accounting Associationの年次大会やAmerican Accounting Associationの年次大会など海外学会への投稿を通じて、研究内容を磨き高めていく方針である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 公正開示規制がアナリストによる業績予想行動に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      堀江優希・加賀谷哲之
    • 雑誌名

      証券アナリストジャーナル

      巻: 59 ページ: 74-85

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本企業の資本配分と資本コスト経営2020

    • 著者名/発表者名
      加賀谷哲之
    • 雑誌名

      月刊資本市場

      巻: 421 ページ: 4-14

  • [雑誌論文] 四半期開示制度の導入・廃止をめぐる論理と影響2020

    • 著者名/発表者名
      加賀谷哲之
    • 雑誌名

      河﨑照行編著『会計研究の挑戦 理論と制度における「知」の融合』

      巻: 1 ページ: 235-250

  • [雑誌論文] フェア・ディスクロージャー導入が情報開示および株式市場に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      加賀谷哲之
    • 雑誌名

      JSDAキャピタルマーケットフォーラム (第2期) 論文集

      巻: 2 ページ: 79-114

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公開日: 2021-12-27  

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