研究課題/領域番号 |
20K02009
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榎本 正博 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70313921)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経営者交代 / 会計情報 / コーポレートガバナンス / 利益マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,わが国のコーポレート・ガバナンスの変容を基礎にして経営者交代と利益マネジメントの関係の変化を分析することである。本年度は,基礎的な経営者交代データを収集し文献の検討を行った。 経営者交代の基礎的な検討として2010年から2019年までの経営者交代データを用いて,以下のことを論文として報告した。先行研究と比較して,長期的に経常的交代の比率が低下する傾向があった。交代前の財務比率の特性としては,(1)後に強制的な交代,外部者の就任が発生したグループでは業績がより悪化,(2)経常的かつ内部者昇進の場合は,指標によっては交代がなかったグループと同じか上回っている。これは一部の交代には業績悪化以外の交代メカニズムが働いていることを示した。 交代後の業績については強制的かつ外部者就任のグループの業績の回復が大きいが,同じ外部者が就任しても退任経営者が実権を握っている経常的交代の場合は回復が進んでいない。また経営者交代のパターン(強制的交代か経常自発的交代か,内部者が昇進するか外部者就任するか)と経営者持株比率,金融機関持株比率,一般事業法人持株比率,外国法人等持株比率といった持株比率との関連も示した。 これとは別に,経営者交代データの整備を行った。具体的には役員データベースを元に経営者交代の特定をやり直した。これまでのデータ収集は手作業の部分が多くの残っていたが,手作業の部分を減らすことで効率化することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本企業の経営者交代の特性について,経営者の属性,財務比率,持株比率の観点から論文を執筆し,発行された。1年目の予定として当初の予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は経営者交代についての最新のデータを追加し,経営者交代と会計情報及びコーポレート・ガバナンスとの関係について分析を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出張ができなかった。 一部データベースを他予算で購入できた。
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