研究課題/領域番号 |
20K02023
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 会計史 / オランダ東インド会社 / 平戸商館 / 長崎出島商館 / 会計 / 簿記 |
研究実績の概要 |
本年度の当初研究計画は,オランダにおいてオランダ東インド会社(VOC)の本国側における資料の収集、東京大学史料編纂所における平戸および出島長崎商館資料の調査,そして,長崎大学や平戸・出島での現地調査を実施することを,第一段階としていた。また,オランダにおいては,研究代表者と本研究課題に関連した共同研究論文の執筆を企画し,その準備もかねて2019年8月に来日して研究会を行ったアムステルダム自由大学のK. Camfferman教授やVOCの私貿易に詳しい研究者で親交のあるエラスムス大学C. Nierstrasz講師に助言を求めて研究の基盤を固め,共同研究計画の策定を行うことも予定していた。 しかしながら,いわゆるコロナ禍のため海外渡航のみならず国内の遠距離移動もすることができず,当初計画の変更を余儀なくされた。そこで研究代表者は,わが国にある資料だけで当該研究テーマの基礎的研究を行うこととした。すなわち,すでに出版物として公刊されている『平戸市史海外史料編』に所収されているVOC平戸商館の帳簿をもとに,当該テーマの論点整理を行うこととした。具体的には,日蘭交流(貿易)史の研究成果を踏まえて,VOCの私貿易と常に相当額の支出を行っていた進物費の関係について検討を行い,その成果を以下の論文として学術雑誌に発表した。 橋本武久「オランダ東インド会社長崎支店をめぐる会計史的課題」『會計』第198巻第3号,15-29頁(令和2年9月)。 また,関連する研究発表を,令和3年3月13日(土),東京史料編纂所特定課題研究「モンスーン文書・イエズス会日本書翰・VOC 文書・EIC 文書の分野横断的研究」の学外研究員として,「会計史研究と17世紀オランダ:Simon Stevin,Huis Oranje-Nassau,そして,VOC」と題して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り,本年度の当初計画では海外渡航及び国内出張を基本とした現地での資料調査・収集による当該研究課題に対する研究基盤の確立であった。しかしながら,コロナ禍のためそれらを実行することが不可能となり,研究計画を変更せざるを得なくなったことから,「やや遅れている」と判断したものである。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航を伴う現地調査については依然として先行きが不透明な状況であることから,資料の収集・調査については,当該研究課題に関する資料が多く収容されているオランダ・ハーグ在のNationaal Archief(オランダ国立公文書館)において,現時点でオンラインで利用可能なデジタルデータをもとに研究を進めるとともに,利用できない重要な資料についてリストアップを行い,現地調査解禁時に備えることとする。具体的には,資料ナンバー1.04.02 "Inventaris van het archief van de Verenigde Oost-Indische Compagnie (VOC), 1602-1795 (1811)"を中心に検討を行う。また海外研究者との研究会をオンラインソフトの利用により実現させるべく準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の当初計画では海外渡航及び国内出張を基本とした現地での資料調査・収集による当該研究課題に対する研究基盤の確立であったため,旅費をもっとも多く計上していた。しかし,コロナ禍のためそれらを実行することが不可能となり,研究計画を変更せざるを得なくなったことから,本年度は研究に必要不可欠な物品の購入にとどめたため次年度使用額が生じた。なお,繰越された金額は,次年度以降に持ち越された現地調査の旅費に充てる予定である。
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