本研究では、経営者の能力をいかに測定するかという古典的な問題に対して、経営者予想誤差の観点から接近した。実績利益の確定によって判明する経営者予想の誤差は、経営者の学習を前提とすれば、一定の方向性をもって持続することは考えにくい。しかし、楽観的もしくは悲観的な予想には持続性が認められ、そこに経営者の情報処理能力の問題を読み取ることができる。企業が手掛ける実物投資は、将来の収益見通しをもとに実行される。したがって、将来における投資の成否は、現在の経営者の情報処理能力に依存する。本研究では、経営者予想誤差から読み取られる経営者の情報処理能力が、実物投資の成否を占う試金石となることを明らかにした。
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