研究課題/領域番号 |
20K02033
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中野 誠 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (00275017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 集約利益 / マクロ会計 / GDP |
研究実績の概要 |
本研究は個別企業の会計情報を集約(aggregate)して作成したマクロレベルの会計利益情報(集約利益:aggregated earnings)を用いて以下の点を解明することを狙いとしている。具体的な論点としては、第1に集約利益と将来のマクロ経済指標の関係性を特定すること、第2にグローバル分析をすることである。本研究の遂行により財務会計研究と国際マクロ経済研究の間に橋を架ける”Empirical Macro-Accounting”という新しい研究領域を開拓できる可能性が高い。 令和3年度の研究実績としては次の点を挙げることができる。東北大学大学院経済学研究科・吉永裕登准教授との共同研究が国際ジャーナルにアクセプトされて、オンライン上で公刊された(ただし、紙媒体での発刊はさらに先になる予定である)。具体的にはグローバル分析として、分析対象国家を世界21か国まで拡張することができた。対象国には先進国だけでなく、可能な限り新興国も含めるように工夫をした。"Aggregate Earnings Informativeness and Economic Shocks: International Evidence"という題目で論文を完成し、Asia-Pacific Journal of Accounting & Economicsという英文査読ジャーナルに公刊することができた。分析対象とする国の数を拡大することで、状況別の分析を実施することが可能となった。例えば、世界金融危機時と平時とに分割したり、先進国と新興国とに分割することで、集約利益情報がどのような状況下で有用なのかを解析することが可能となった。集約利益情報の有用性は状態依存的性質をもつ可能性がある点が析出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状態を確認するために目標としていた査読付英文ジャーナルに論文を公刊することができた。内容的には、グローバルデータの活用によって、対象国の数を拡大することで、状況別の分析を実施することが可能となった。加えて、新型コロナウィルス感染症という危機イベントが発生したため、世界金融危機時も加えて、危機時対平時に分割したり、先進国と新興国とに分割することで、集約利益情報がどのような状況下で有用なのかを分析することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
アジア太平洋地域、EU地域、北米地域、南米地域といった世界の地域別集約利益を対象にして、それぞれの地域のマクロ経済指標との相関関係を探索したい。その上で、ある地域の集約利益と、別の地域のマクロ指標との関係性にまで調査の対象を拡張した研究を進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、海外出張等が実現できなかったため、出張費が執行できなかった。次年度使用額に関しては、コロナ禍の影響、回復度合いを観察しながら、令和4年度助成金と合わせて、物品購入、データ分析補助の人件費などに使用する予定である。コロナ禍が好転したならば、国際的な学会参加、海外研究者との打合せなどにも積極的に活用していく予定である。
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