研究課題/領域番号 |
20K02033
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中野 誠 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (00275017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 集約利益 / GDP / 会計ベータ / 利益ベータ |
研究実績の概要 |
2022年度の研究実績としては、主として次の2つをあげることができる。第1の研究実績として、マクロ利益とGDPの関係についてグローバルデータを用いた研究が、2023年1月に国際的な査読付きジャーナルに掲載された。具体的には、題目は" Aggregate Earnings Informativeness and Economic Shock: International Evidence,"であり、掲載ジャーナルはAsia-Pacific Journal of Accounting & Economicsである。本研究課題を開始した当初から取り組んできた研究を国際発信できた。 第2の研究実績は、会計利益を用いたシステマティック・リスク指標、すなわち会計ベータに関する研究について、一定の成果をあげることができた。当該研究は、「新潮流としての会計ベータ研究」という題目で、『証券アナリストジャーナル』2022年11月号に掲載された。株価を用いるシステマティック・リスク指標であるベータ値の有用性・信頼性が低下する中、当期純利益、包括利益を用いた利益ベータを用いた研究は、わが国では新規性が高い分析といえるだろう。会計ベータの具体的な有用性は、以下の点にある。第1に、会計利益を市場要素と非市場要素に分解して考察することが可能となる。経営管理上、どの部分が市場要因で、どの部分は自社要因なのかを定量的に継続的に把握・活用することができる。経営陣を対象とする利益連動型報酬のデザインの際には、基礎的情報として有用である。第2に、事業部単位での利益ベータの推計を通じて、事業部単位でのハードルレートの設定も可能となる。複数事業を展開する多角化企業にとって、管理会計・経営管理上のベネフィットは大きいだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により、当初予定していた国際学会での研究報告はできなかったものの、国際ジャーナル、国内ジャーナルに研究成果を掲載できたため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
集約利益に関する分析のうち、GDPとの関係性については分析を完了したため、今後の研究の推進方策としては、会計ベータに関する分析をメインに据える予定である。会計ベータには、次のような有用性が期待できる。第1に、会計ベータの活用によって、会計利益を市場要素と非市場要素に分解して考察することが可能となる。経営管理上、どの部分が市場要因で、どの部分は自社要因なのかを定量的に継続的に把握・活用することができる。経営陣を対象とする利益連動型報酬のデザインの際には、基礎的情報として有用である。投資家サイドも、利益変動に関して従来とは異なる視点からの厳密な定量分析が可能となる。第2に、事業部単位での利益ベータの推計を通じて、事業部単位でのハードルレートの設定も可能となる。社内で記録・保存してある事業部毎の過去の利益数値を用いることで、利益ベータを推計できれば、より精緻な設定が可能となるだろう。複数事業を展開する多角化企業にとって、管理会計・経営管理上のベネフィットは大きい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会出張が実施できなくなったため、研究進展および予算使用に遅れが生じた。2023年度、出張が可能となり次第、研究のインプット、アウトプットを進める計画である。
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