研究課題/領域番号 |
20K02038
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中田 範夫 山口大学, 経済学部, 教授(特命) (90146142)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経営管理組織 / 電子カルテ / 看護配置 / DPC / BSC / 原価計算 / 共同購入・利用 / アウトソーシング |
研究実績の概要 |
平成28年9月から10月にかけて行った公立病院に対する調査結果、および平成29年7月から8月にかけて行った公立病院を除く総ての病院種類に対する調査結果を比較し、そこから公立病院の非効率性についての原因を明らかにすることが研究の目的である。 主な設問項目についてその比較結果を記載する。 ①経営管理を担当する組織について、公立病院では72.4%そして非公立病院では53.5%が設置している。②電子カルテの導入に関しては、公立病院では71.2%そして非公立病院では61.1%の利用状況である。③一般病棟に対する7対1看護配置について、公立病院では37.9%、非公立病院では44.5%である。④DPCの採用については、公立病院43.6%、非公立病院47.0%である。⑤BSCの導入に関して、公立病院では11.5%、非公立病院では17.7%である。⑥原価計算システムの導入に関して、導入しているのは、公立病院で11.1%、非公立病院で11.6%である。⑦平成25年度と平成27年度決算利益がどのように変化したかを聞いている。公立病院では27.6%、非公立病院では34.9%が「増大した」と回答している。平成27年度の医業費用収益率について問うている。公立病院では83.34%、非公立病院では100.17%である。⑧非財務的成果について質問している。まず、平均在院日数については一般病床と精神病床とに分けているが、一般病床に関しては公立病院では18.38日、非公立病院では17.57日であり、次に精神病床では公立病院では132.38日、非公立病院では178.52日である。同様に病床稼働率については、一般病床に関しては公立病院では74.60%、非公立病院では82.47%である。精神病床に関しては、公立病院で68.63%、非公立病院では82.06%である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究課題で利用している基礎データは、平成28年9月から10月にかけて行った公立病院に対する調査結果、および平成29年7月から8月にかけて行った公立病院を除く総ての病院種類に対する調査結果を利用している。これらの調査結果に関する論文はそれぞれ報告している。 したがって、今回の公立病院と非公立病院の比較については上記の論文及びそれらのデータが利用できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は、公立病院と非公立病院との比較を行ってきた。残された課題は次のことである。 1つめは公立病院および非公立病院それぞれの中において具体的にどのような病院が財務・非財務業績において優れており、それらの財務・非財務業績に対してどのような要因が重要な影響を及ぼしているかを明らかにすることである。 2つめは当初厚生労働省が発表した全国424病院(改善・改革を要する病院)について資料を収集し、どのような点が問題なのか、およびどのような改善・改革が行われているのかを明らかにすることである(ただし、現在の新型コロナ感染状況において、このような改善・改革は一時中断している状況である)。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究課題についての助成金を申請した時点では新型コロナウィルスは少なくとも国内では発見されていなかった。令和2年度の予定では厚生労働省の発表した改善・改革すべき病院数424カ所の実態調査のための「その他」(主に郵送費:72,000円)を使用しなかった「消耗品費」も計画では228,000円を計上していたが、実績は188,000円であったため40,000円の未使用額が発生した。 未使用額は合計110,000であるが、本年度の使用計画に含めて消耗品費として使用する計画である。
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