研究課題/領域番号 |
20K02040
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高橋 二朗 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70581619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 会計基準の分析モデル / 会計基準間競争 / 収益認識に関する会計基準 |
研究実績の概要 |
本研究は,会計基準間競争といった相互作用が国際的な会計基準(米国基準,IFRS及び日本基準)の整合性にどのような影響を及ぼし,各基準がそれぞれの体系をどのように保っているのかを分析するモデルの構築を試みるものである。2020年度は国際的な会計基準の概念フレームワークと個別基準の観察を通して,国際的な会計基準が有している体系の分析を行ったが,2021年度は収益認識に関する会計基準を検討対象として,当該会計基準が日本基準にどのように取り込まれたのかの分析を行った。 分析の結果,各国の会計基準はそれぞれが有する独自の体系を損なわない形で国際的な会計基準の進化を自基準の体系に組み込むと考えられるため,国際的な会計基準が日本の会計基準の体系と矛盾しないとき,国際的な会計基準がほぼそのまま日本の会計基準として導入されると予想され,収益認識に関する会計基準はそのようなケースとして位置付けることができた。一部で整合的に説明できない部分を残すものの,収益認識に関する会計基準はこれまでの日本の会計基準の基本的な考え方を踏襲するものであり,これまで明示的にルール化されていなかった項目を規定することで,投資に寄せられた期待を事後の事実に照らして確認するという利益計算の方法をより明確に示したものとして意義を有することが明らかになった。 なお,2021年度の研究成果は高橋(2022)「収益認識に関する会計基準の制度分析」『ディスカッション・ペーパー(名古屋市立大学経済学会)』にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は近年新設ないし改廃のあった個別具体的な会計基準を分析対象として,当該会計基準が国際的な会計基準の体系にどのように取り込まれたのかを明らかにする予定であった。研究実績の概要に記述している通り,収益認識に関する会計基準を検討対象とする分析を行うことができた。ただし,他の会計基準の分析も行うことができるため,今後,補助事業期間内にでき得る分析を行っていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,これまでの研究成果をもとに,会計基準間競争といった相互作用が国際的な会計基準の整合性にどのような影響を及ぼし,各基準がそれぞれの体系をどのように保っているのかを分析するモデルの構築を検討する。そのために,2020年度の分析結果を米国の概念フレームワークの改訂状況に応じて修正・補足するとともに,収益認識に関する会計基準以外も検討対象とした分析を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で当初予定していた学会参加のための旅費が発生しなかったことで次年度使用額が生じている。コロナの情勢を見つつ,次年度に参加可能な学会で情報収集・意見交換等を行っていきたい。
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