| 研究課題/領域番号 |
20K02042
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| 研究機関 | 神戸市外国語大学 |
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研究代表者 |
石椛 義和 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20553142)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 会計学 / 情報開示 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は，開示情報と不均一な投資家との関係を明らかにしたうえで，経営者の開示行動を数理モデルを用いて検証することである．具体的には，投資家を取り巻く状況や情報特性を中心に，投資家行動の「決定要因」を先行研究等から整理したうえで，投資家の意見不一致を含有する「資本市場」モデルを構築し，経営者の「開示戦略」モデルと結合することで，投資家の不均一性が情報開示に与える影響を考察する．
当該年度は，財務諸表の複雑性と経営者の業績予想との関係についての研究を継続し，事業の複雑性が会計とキャッシュフローにどのように影響を与えるかによって，経営者の予想開示戦略が異なることを確認した．この結果は海外査読雑誌への掲載が決定している．この研究は投資家の情報観察と経営者の「開示戦略」との関係を示すものであり，投資家の不均一性の導入による拡張のベースモデルとなりうるものである．
また，情報開示環境と企業行動の関係についての研究を継続して行っており，複数競争市場における情報の開示/非開示によって経営者の投資行動が異なることを確認した．開示情報の異なる複数の市場が経営者行動に与える影響の検討は，投資家の意見不一致のモデル化検討の一助となるものである．この研究は査読雑誌への投稿に向けて改訂を行っている．
さらに，投資行動の「決定要因」に関連する情報特性に着目した研究として，銀行の資産選択行動について，貸借対照表をベースとした理論モデルを構築し，リスクに対するモデリングの違いによるフィッティング精度の比較分析を行った．この結果は海外査読雑誌への掲載が決定している．目的関数におけるリスクの扱い方の検討は，投資家行動をモデル化する土台になるものである．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は，開示情報と不均一な投資家との関係を明らかにし，経営者の開示行動を数理モデルを用いて検証することであり，投資家行動の「決定要因」を先行研究等から整理したうえで，投資家の意見不一致を含有する「資本市場」モデルを構築し，経営者の「開示戦略」モデルを考察する．
当該年度は，投資家の意見不一致が生じる環境や，不一致が市場や資産価格に及ぼす影響に関する先行研究の調査を行った．しかし前年度から継続して行っている「開示戦略」をはじめとする経営者の行動戦略の数理モデル分析，および投資家の投資行動に関連した研究である銀行の資産選択モデルの分析について，研究結果の論文投稿および改訂作業に想定以上の時間を要した．また近年の情勢から教育活動等，研究以外の活動時間が増大し，本研究へのエフォートが減少する状況にあったことから，投資家の不均一性が引き起こされる状況と投資家の行動との関係における「決定要因」について十分に整理，考察することができなかった．「決定要因」の特定は本研究において関心の高い事項であることから，上記区分とした．
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| 今後の研究の推進方策 |
現在，意見の不一致が生じている状況を対象とした先行研究から，投資家が自分の意見に従う/従わない状況を引き起こす要因に関する実証的な結果の整理をを行っており，引き続き作業を継続するとともに，これまでの理論研究において投資家の不一致性がどのようにモデリングされているかについて確認する．投資家の不均一性が生み出される要因を情報の特性に注目して整理し，モデル化を検討することで，新たな資本市場モデルの構築，拡張を目指す．そのうえで，経営者の「開示戦略」をモデルに組み込んだ考察が可能かどうか，検討を行う予定である．
本研究は学会や研究会等での議論によって修正や拡張を行い，理論を洗練させる．研究成果は論文としてまとめたうえで，学術雑誌等に投稿する予定である．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）研究計画に遅れが生じており，物品や書籍の購入時期がずれたため．また当該年度は国内外で開催される学会・研究会への参加が困難であったため．
（使用計画）参考書籍やパソコン関連費（ソフトの更新・消耗品など）の物品費，学会・研究会への出張費，学会誌投稿料・英文校正費などに利用する．
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