本研究では、事業活動に伴う経費の損金算入制度が、努力水準や報酬契約などの企業行動にどのような影響を与えるかを分析した。これらの活動は企業価値を創造し、消費財の本質的な特性によりエージェントに利益をもたらすため、プリンシパルはエージェントにインセンティブを課すことと損金不算入による税負担増とのトレードオフに直面する。さらに、政府が柔軟に損金不算入割合を変更できる場合の分析をした。その結果、損金不算入割合が柔軟であるか否かによって、法人税率の影響、および損金不算入費用に対するエージェントの選好の影響が異なることが分かった。この結果は、様々な国が異なる損金不算入ルールを適用している理由を説明できる。
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