研究課題/領域番号 |
20K02051
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
田中 優希 法政大学, 経済学部, 准教授 (00636178)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 気候変動情報開示 / 財務会計 / 資本コスト / コンテンツアナリシス |
研究実績の概要 |
2020年度は、データベースの作成と、解析用のプログラミング言語の習熟を計画していた。したがって、具体的な研究報告としての成果ではなく、それぞれの現在の進捗状況を報告することで研究実績の概要に代える。 このうちデータベースについては、2019年度分の一部(決算月が2020年1月以降のもの)を除いて、概ね当初予定の構築を終えることができた。具体的には、日本(上場企業)・米国・欧州(主要企業)の開示資料(有価証券報告書、統合報告書、サステナビリティレポート等)から、本研究課題に関連する記述を抽出し、データベースを構築した。日本企業については2018年度と2019年度、米国・欧州企業については2015年度から2019年度のものである。収集した情報と、各データベンダーが提供する情報を照らし合わせ、記述情報の定量化(曖昧さ、楽観性、可読性など)を試みている。一連の作業を通じて気候変動情報の開示を横比較可能な形に変換し、実態を概観することが現在の課題である。引き続き、実態調査と開示効果の検証を進めている。 プログラミング言語の習熟については計画より遅れており、2021年度早期に引き続き実施する計画である。ここまでのところ、開示資料から文章を抽出することはできるが、元資料の改行の数や、インデントなど、規則性が乱れた時に抽出もれが発生しており、手作業で取集する過程で時間的なロスが生じている。引き続き習熟を進めて精度と速度を速める方法を模索したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度半ばの出産と育児が研究時間に影響し、当初予定していたほどのデータ収集や分析時間の確保を行うことができなかった。2021年4月より保育園の協力を得て研究時間を確保できるようになっている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在研究上実施すべき内容として3点認識している。それぞれの推進方策は以下の通りである。 1点めはコンテンツアナリシスの精度と速度の向上である。プログラミング言語の習熟が途上のため、開示書類から目的とする情報を抽出することに時間がかかっている。抽出手順の改善、ないし、学生アルバイトの活用をもって解決したい。 2点めは、関連文献の膨大さである。本研究課題は社会的な関心が高いこともあって、会計学領域以外に関連研究が多数存在している。これらを早期に収集しレビューしたい。 3点めは、統計的処理の改善である。研究協力者の助言と作業を依頼することで解決したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は下記の通りである。旅費については、予定されていた国際学会のうち1件がコロナ禍により延期され、1件がオンライン開催となったためである。人件費については、予定していた学生アルバイトを活用できる状況になく、2020年度はおおむね研究代表者自身で各データの収集を行ったためである。その他に計上していた学会参加費は上記の理由で不要となり、インタビュー謝金については辞退されたため不要であった。 2021年度は次年度使用額と翌年度分をいずれも、データ収集や分析に必要な学生アルバイト謝金として執行予定である。
|