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2022 年度 実施状況報告書

コンテンツアナリシスを用いた気候変動情報開示の探索的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02051
研究機関法政大学

研究代表者

田中 優希  法政大学, 経済学部, 教授 (00636178)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード財務報告 / ディスクロージャー / ESG投資 / ESG開示
研究実績の概要

本研究課題を通じて下記3件の論文を公表した。
①「ESG評価とサンプルセレクションバイアス 」『日本会計研究学会スタディ・グループ「AI 技術の活用によるESG情報の評価に関する研究」最終報告書』125-135頁。
②「AIによるESG 評価モデルと資本コスト」『日本会計研究学会スタディ・グループ「AI 技術の活用によるESG情報の評価に関する研究」最終報告書』246-258頁。
③"Old and New Issues: Mandatory and Voluntary Disclosure: A Comparison of Japan and France,"Fondation France-Japon (FFJ) de l'Ecole des Hautes Etudes en Sciences Sociales (EHESS) Discussion Paper (公開準備中).
①②は共著、うち②は筆頭著者である。③は単著である。①では日本におけるESG開示に関する実証研究をレビューしている。本研究課題では日本企業のESG開示のコンテンツアナリシスとその結果を用いた実証分析を行っているが、本レビューにおいて過去の日本の先行研究における論点や課題を明らかにできた。②では今後のESG開示分析において有用となり得るAIの活用について、実証研究が受ける影響について記述した。また、共同研究者の協力を得てAIによって日本企業のESGスコアを推定し、その結果と企業評価(資本コストを採用)との関係を分析した。③本研究課題の推進を通じて日本企業のESG開示の課題としてG(ガバナンス)領域の評価が低いことが判明した。そこでG領域の評価が高いフランス企業と、開示内容を比較し、日本企業の開示の課題と今後の施策への示唆を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通りにデータベース構築と分析を進め、2本の研究成果公表に至った。研究計画に基づき、Pythonを用いて日本企業、欧州企業(イギリス、フランス、ドイツ)のESG開示から文字データを抽出した。抽出きた文字データは、独自に作成した辞書と先行研究が公開しているプログラム(fin_bert model / huang et al.(2022))を用いて、どのようなESG開示が含まれているかに分類できている。現在この分類をもとに、企業のESG開示の内容(コンテンツ)がどのように株式市場から評価されているか分析中である。分析では企業評価指標として、投資家が投資先企業に対して抱くリスクの代理変数として使える「資本コスト」を選択した。資本コストは算出が複雑だが、これについても必要なデータ収集を終了し、先行研究に基づき4通りの算出を終えている。これらを論文として公表するためには、先行研究のレビューによって理論的な整理を行う必要があるが、こちらについても終了し、論文としても公表している。

今後の研究の推進方策

今後の計画は下記4件の論文公表である。まず1本目は、日本企業と欧州企業のESG開示の特質を比較する論文である。コンテンツアナリシスの結果、日本のESG開示はS(労働などの社会領域)とG(企業統治などのガバナンス)の領域において弱みがあることが示唆されている。これらを客観的な分析データをもとに示し、その原因と、将来に向けた施策を検討する論文を作成中である。2本目は、日本企業全体のESG開示の進化を分析した論文である。当研究課題の推進を通じて日本企業全体の初年度開示年データが集まったので、このコンテンツアナリシスを行い、過去30年の開示の進化を分析する。3本目は、1本目の内容をもとにした実証分析である。日本企業、欧州企業のESG開示の内容(コンテンツ)と資本コストの関係性を分析する。4本目は、2本目の内容をもとにした実証分析である。日本企業のESG開示の変化を株式市場がどのように受け止めてきたのかを、資本コストとの関係を分析することで描写する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画のうち、国際学会への参加をオンラインで行ったことで旅費を節約したため。また、研究課題に用いるためのデータの購入について条件を精査中で、契約前のため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Old and New Issues: Mandatory and Voluntary Disclosure: A Comparison of Japan and France2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tanaka
    • 雑誌名

      Fondation France-Japon (FFJ) de l'Ecole des Hautes Etudes en Sciences Sociales (EHESS) Discussion Paper

      巻: - ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ESG評価とサンプルセレクションバイアス2022

    • 著者名/発表者名
      奥田真也・田中優希
    • 雑誌名

      日本会計研究学会スタディ・グループ「AI 技術の活用によるESG情報の評価に関する研究」最終報告書

      巻: なし ページ: 125, 135

  • [雑誌論文] AIによるESG 評価モデルと資本コスト2022

    • 著者名/発表者名
      田中優希・石野亜耶・中尾悠利子・國部克彦
    • 雑誌名

      日本会計研究学会スタディ・グループ「AI 技術の活用によるESG情報の評価に関する研究」最終報告書

      巻: なし ページ: 246,258

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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