研究課題/領域番号 |
20K02053
|
研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
大串 葉子 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (80325555)
|
研究分担者 |
上總 康行 福井県立大学, 地域経済研究所, 研究員 (20121494)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 海外投資プロジェクト / 事後監査 / 事業計画 / 投資経済計算 / 投資意思決定 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
これまで、企業が海外プロジェクトに投資を行う場合の事前・事中・事後監査に焦点を当てて文献研究や企業のトップマネジメントへのヒアリング調査を実施してきた。海外投資事案は、マーケット・リスク以外にカントリー・リスク等の個別リスクも採算性に大きな影響を与える。海外投資は国内投資よりリスクが高く、政変による撤退のリスクも多大であるために、「海外のプロジェクトを評価する場合には,国内のプロジェクトより厳しい採算基準を適用すべきである」と考えるのは自然であろう。そのため,通常、具体的な海外投資プロジェクトを実施すべきか否かを評価する際には,国内における投資プロジェクトよりも割高の割引率(リスク調整割引率)でもって期待キャッシュフローを割引いて評価し,あるいは投下資金の回収が早い案件を優先的に採用する手法がとられることが多いと言われている。 しかしながら実態の詳細は不明である。当該年度は海外での事業に融資する銀行側がどのような評価機軸を持っているのかについて、政策投資銀行の執行役員にヒアリングを行った。 当該銀行では、持続可能な社会の実現に向けて第5次中期計画を立て投融資一体で事業を実施しているが、1:事業ステージに応じてリスクとリターンのバランスが異なることから複層的なファイナンス手法をとっていること、2:スタートアップから事業化までのリスクが特に大きいことが分かった。そして、投資目標を明確化して法制度の徹底的な研究を行うとともに、どの現地パートナーと組むかが事業の成否を大きく左右することも示された。このヒアリングによって、融資を行う銀行も海外事業を遂行する企業とほぼ同様の視点で事業の監査を実施していることが明確になった。 ほかに、事業会社1社のヒアリング調査を実施した。現行の案件についてはコメントできないということだったので、過去のインフラプロジェクトについて詳しい内容を聞いた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度もコロナ禍で渡航制限が続いたために、海外進出企業の現地ヒアリング調査が実施できなかった。国内も居住地以外への移動や対面での調査が大きく制限され、予定していた調査がほぼ延期となってしまった。そこで、融資を実施する金融機関へのヒアリングを行うとともに、事業会社の元執行役員の方から、具体的な海外インフラプロジェクトについてのオンラインでの聞き取り調査を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
今年は海外渡航や対面でのヒアリングが可能になってきたので、企業のデータを精力的に集めるとともに、これまでの成果をまとめて学会に報告したり、WEBでのアンケート調査によって定量的な分析の可能なデータを収集する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2年連続でコロナ禍で国内外の移動が難しく、企業へのヒアリング調査や予定していた海外での学会報告がほとんど実施できなかったこと、ヒアリング調査の結果をもとに設計予定だったアンケート調査も未実施になってしまったことで、次年度に繰り越される予算額が大きく膨らんでしまった。
|