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2024年度の本研究では、海外事業投資に関する企業の評価実態を明らかにすることを目的として、国内企業を対象にアンケート調査を実施した。調査では、投資判断時の財務・非財務評価の重視度、投資後の評価指標、評価実施部門と評価観点、進出地域ごとの評価傾向、進出目的との関係性など、多角的なクロス集計分析を行った。 まず、資本金規模と事前財務評価の関連では、資本金の大小に関わらず評価の分布は広がっており、一定の評価基準が浸透している一方で、規模の大きい企業ほど評価を分散させている傾向がみられた。業種別の非財務評価では、製造業が圧倒的に非財務評価を実施しており、リスク回避型の傾向が読み取れる。また、評価を担当する部署と評価観点の関係を分析した結果、経営企画部門が評価の大部分を担い、多様な観点からの評価が行われていることが確認された。事後評価については、進出地域ごとに差異があり、特に東南アジアでは他地域と比べて評価スコアがやや高めに出ている点が特徴的である。これは、比較的市場成長が続いている地域に対して肯定的な評価がなされやすいことを示唆している。 進出目的と評価指標の対応についても分析を行った。市場拡大を目的とする企業は、「売上」「利益」など財務的指標を中心に評価している一方、ブランド構築や現地パートナーシップ構築などを重視する企業では、「現地連携」や「レピュテーション」といった非財務指標にも注目が集まっていた。 以上の結果は、企業の海外進出における評価プロセスが一様ではなく、進出背景や内部体制に応じて多様化している実態を裏付けている。今後はこれらの調査結果をもとに、論文執筆を通じてより体系的な理論モデルの構築を目指す。
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