研究課題/領域番号 |
20K02056
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
木村 麻子 関西大学, 商学部, 教授 (30389233)
|
研究分担者 |
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | CSR / 統合報告書 / サステナビリティ情報開示 / コミットメント |
研究実績の概要 |
本研究では,日本企業のCSR戦略の変遷を対象として,①企業がどのように戦略課題を選択しているのか,②それらの戦略的意思決定が業績に与える影響,の2点を明らかにすることを目的とする。その具体的な手順として、企業が発行するCSRレポート/統合報告書からテキストデータを抽出し,トピックモデリングを用いて,その戦略課題の変遷を分析することとした。また、合わせて個別の企業にもCSR戦略を策定するにあたって経営者がどのように意思決定を行なっているかについてインタビュー調査を行うこととした。 まず、日経平均採用銘柄(日経225)の発行するCSRレポート等(サステナビリティレポートや統合報告書を含む)を対象とした分析を行った。CSRレポート等において経営者がその方針や将来についても語るトップメッセージを記載するページをテキスト化し、トピックモデリングを採用して、10年間のトピック変遷の傾向を検討した。この分析の一部を2021年度に中間報告として発表し、さらに分析を加えて2022年度には日本会計研究学会スタディグループの最終報告書に論文を掲載した。 次に、社会課題を解決するビジネスを展開する企業の創業者へのインタビュー調査を重ね、その成果を日本管理会計学会全国大会にて発表した。創業者の信念が創業後の様々な経験を経て変化し、複数の社会課題解決型ビジネスを展開するためのプラットフォームを作るまでの様子を考察し、その際に管理会計システムがどのような役割を果たしたかについて論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の国内企業を対象とする計画に加えて、共同研究者の協力を得て国際比較を行うこととしたため、その分析に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定では国内企業を対象としていたが、共同研究者の協力を得て、国際比較を行うこととした。当初は報告書内の経営者メッセージだけを対象として10年分のデータを分析することとしていたが、本件では報告書全体を対象として、3年分のデータを分析することとした。国際比較であるため、期間については長期間とらなくとも一定の特徴を捉えられると判断した。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、計画の最終年度に海外のカンファレンスで発表することを想定していたが、感染症の影響等もあり渡航することができなかった。また、本研究を進める中で知己を得て新たに統合報告書を用いた国際比較をする機会を得た。国際比較に関しては、新たに分析を要するため、研究費の残額を翌年度に繰延て、データの分析等に充てたい。
|