研究課題/領域番号 |
20K02058
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 龍峰 西南学院大学, 商学部, 教授 (50184669)
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研究分担者 |
長吉 眞一 明治大学, 会計専門職研究科, 専任教授 (10315046)
丸山 恭司 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (20779798)
坂根 純輝 長崎県立大学, 経営学部, 准教授 (40738001)
原口 健太郎 西南学院大学, 商学部, 講師 (40846523)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 監査委員監査基準 / 地方自治体監査 / 監査委員 / 監査基準(案) / 「監査基準」 / 適正性 / 公正性 / 決算審査 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方自治体の監査委員監査基準の策定に対して理論的基盤を与えるために取り組むものである。2020年は、各地方自治体における同年3月31日時点における監査委員監査基準の策定状況についてのアンケート調査を実施した。本調査は、本研究の2年目以降に実施する予定の監査委員監査基準に関する理論的研究のための基礎資料を収集することを目的としている。 アンケート調査は、都道府県(47自治体)、政令市(20自治体)、中核市(58自治体)、特例市(27自治体)及び特別区(23自治体)の計175自治体の代表監査委員を対象として実施した。アンケート調査に対する各自治体からの回答は、わが国ではコロナ禍による第1回目の緊急事態宣言下の4月末日であったにもかかわらず、都道府県(32自治体)、政令市(15自治体)、中核市(47自治体)、特例市(21自治体)及び特別区(12自治体)の、計127自治体からの回答があり、その回収率は72.6%という、非常に高い回収率となった。このことからも、各自治体における監査委員が監査委員監査基準の策定について高い関心を持っていることが裏付けられるのではないかと考えている。 2020年度は、アンケート調査の実施を主たる研究過程として位置付けて活動しており、アンケート調査用紙の回収後は、大きく2つの面から研究を実施した。1つは、アンケート調査用紙からだけでは不明な点についての追加のインタビューである。この点は、直接的に当該自治体に出向くことができなかった関係で、メール、電話及びリモート通信等を利用した。他は、アンケート調査用紙の集計と分析であり、この点については、単純集計とクロス分析等の詳細分析を行った。 2020年度の研究実績の概要は、以上のとおりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究は、アンケート調査の実施とその補充調査を実施することにある。これらのアンケート調査の実施については概ね所期の目的を達成したと評価しているが、補充調査の点で十分であるとは言えない状況にある。このことを理由として、区分の個所で、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。 補充調査が十分ではなかった理由としては、アンケート調査だけからでは十分ではない個々の地方自治体の状況について、詳細な内容をヒアリングすることが必要となるが、研究代表者及び研究分担者ともに、所属大学からの要望もあって、コロナ禍での出張が思うようにいかなかったことで、それができなかったことが大きいと言わざるを得ない。もちろん、補充調査は、メール、電話及びリモート通信等を利用してある程度は実施したが、やはり各地方自治体の監査委員監査基準の策定にかかる機微にわたる箇所については、インタビューによるヒアリング以外にはないと考えている。2021年度には、状況が許すのであれば、2020年度にできなかったインタビューによる補充調査を実施したいと考えている。 また、他の理由としては、研究代表者と研究分担者相互が地理的に遠いため、2020年度は集合形式による研究会が開催できなかったことが進捗度に影響を与えていることは否定できない。3度にわたってリモート通信による研究会を開催したが、2021年度は、機会を見て集合形式による研究会を開催することを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実施したアンケート調査結果のさらなる分析を中心に研究を進めるとともに、インタビュー方式による補充調査によって情報の収集を行うことを予定している。アンケート調査の分析結果について研究代表者及び研究分担者とで共有し、その後に、各人は、分析結果等を前提として個別テーマに基づく論文の作成に入ることになる。各人の論文作成とその成果については、2021年度の終盤から2022年度の初めかけて予定している数度にわたる研究会において中間報告として成果報告を行い、各人が所属する大学の研究紀要や市販の雑誌等で当該研究成果を発表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍のために研究代表者及び研究分担者が対面式での研究会への出席や、アンケート回答自治体への補足的な情報収集のための訪問インタビューが実施できなかったことにより、「旅費」の支出がなかったため使用残が生じることとなった。2020年度の「旅費」は2021年度に繰り越しては、必要な出張に使用する予定である。 また、研究分担者の中には、物品費で計上していたパソコンの取得費を未使用のまま繰り越した者がいるが、これは、2021年度に購入する計画に変更したものである。
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