研究課題/領域番号 |
20K02061
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊原 亮司 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (60377695)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 職務給 / 職務範囲 / 職務定義 / 労働規制 / 同一価値労働同一賃金 / 基地労働 / 労使共同 |
研究実績の概要 |
職務給にかんする先行研究に目を通すと、一口に「職務給」といっても、国や時代により、そして職種・業種によっても、さまざまな形態があることが分かる。古典的な歩合制など、職務に対して一律に賃金が決まっている場合はむしろ少なく、職務という括りの中で査定などの評価を通して、賃金に一定の幅があったり、経営側と労働者側との協定によって決められたりするケースが多い。 「同一価値労働同一賃金」の原則に基づく公平な賃金システムという理念に照らし合わせていうと、重要な論点としては、ひとつに、今述べた「労使共同のルール作り」であり、そのルールに基づき、労使の両方が参加して「職務定義(職務記述書)」を決めていくことである。もうひとつに、職務定義、評価の仕方、評価の結果に対する透明性であり、それらが労働者に周知されることである。 組織の枠をこえて労働者がルールづくりに参画すれば、市場全体における「職務給」の展望が開ける。しかし、かりに企業内組合であったとしても、ルールづくりに加わり、職務定義を洗い出し、加えて、職務内容、職務量、査定結果などが労働者に知らされたならば、まずは組織内で公平さや納得性が保たれる。そして、空いた職務に対して社外からもエントリーされることを考えると、組織の外にもその理念は広がって行くであろう。逆に言えば、それらの条件が欠けたならば、雇い主にとって都合のよい「職務給」になる可能性が高い。すなわち、労働条件の劣る労働者に合わせた賃金改革や恣意的な評価になるやもしれない。 なお、労使の共同のルール作りは、経営側にとってもプラスになる。なぜなら、日本の勤務先において、自己完結した仕事というのは現実的ではなく、そのような職場では、複数人が職務定義や見直しに関わることによって「職場における公平性」が担保されるからであり、「職場のモラール」が保たれるからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は「職務給」にかんする先行研究に目を通した。時間があれば、在日米軍基地を訪れたかったが、コロナ禍にあって移動が制限され、それはかなわなかった。
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今後の研究の推進方策 |
以上の論点に基づき、基地の労働の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
横須賀や沖縄の基地へ調査に行く予定であったが、先述したように、コロナ禍にあってかなわなかった。
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