本研究は職務給に焦点をあてて、基地における職場の運営上の問題と組合の対応をみてきた。労務管理研究や基地問題研究も完全に見落としてきた点である。この事例から学べることは、かりに「職務給」が導入されても、労働者が業界全体や組織で統一的に活動し、同時に各事業所・各職場で個別対応しなければ、労働者の権利は十全には守られないということである。もし、旧来の「日本型」の組織および雇用慣行に接ぎ木するかのように「職務給」を導入すれば、運営上の「曖昧さ」は基地の事例よりも大きくなるだろう。そして、条件の劣る方に合わせられるといった具合に、労働者に不都合な形で「処遇差が解消される」可能性が高まると考えられる。
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