研究課題/領域番号 |
20K02063
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
和田 清美 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (40211677)
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研究分担者 |
脇田 彩 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (00750647)
大槻 茂実 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (20589022)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 階級格差 / 地域コミュニティ / 東京 / 量的・質的アプローチ |
研究実績の概要 |
本研究は、2000年代以降人口が集中し階層変動が顕著な大都市東京を研究対象に、大都市東京を構成する大都市内部の地域社会内の階層格差の変化を解明すると同時に、階層格差が引き起こした地域コミュニティの変化と再編過程の解明を目的とする。この解明は量的・質的調査法を合わせた混合研究法を採用する。具体的には、東京都23区において階層変動という点で特徴のある区を選定し、さらに各区の変化を代表する地域コミュニティ(小地区)を対象に、量的・質的調査を行う。 本研究は2020年度より3か年にわたって実施されるが、初年度である2020年度は、次年度実施を予定している地域コミュニティ(小地区)における量的・質的調査のための研究枠組みと課題の確定をすべく、社会階層研究と地域コミュニティ研究に関する既存研究のレビューを行った。その成果として、「階級格差と地域社会の変容に関する研究ー課題と方法をめぐってー」としてまとめた。 このことにより、本研究が社会階層研究と都市社会学研究ーとりわけ地域コミュニティ研究の接合を試みる研究として位置付けられることを明らかにし、本研究の学術的意義と独自性があることを検証した。また、次年度実施を予定している地域コミュニティ(小地区)調査に向けた研究課題の抽出と、2020年突如襲った新型コロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックが、研究対象である東京の社会階層や地域コミュニティに及ぼしている影響について、可能な限りの得られたデータから言及した。次年度実施予定の量的・質的調査の設計には、新型コロナウィルス(COVID-19)がもたらした社会階層と地域コミュニティへの影響についての解明が本研究の課題として加わったことも重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ禍のため、予定していた台湾・台南市の国立成功大学への研究訪問を中止するに至った。また、調査対象地(小地区)確定のために東京23区の自治体職員への訪問インタビュー調査の実施を予定していたが、これは次年度(2021年度)に延期することとした。 以上のように、コロナ禍という制限された研究環境の下で、2020年度は、調査対象地(小地区)確定のための調査研究としては、もっぱら基礎的資料としての自治体資料の蒐集と分析を行うこととした。この基礎資料にもとづき、次年度(2021年度)早い段階での調査対象地(小地区)確定のために東京23区の自治体職員への訪問インタビュー調査を実施することとしたい。一方、次年度後半に予定している量的・質駅調査の実施のための調査設計ーとりわけ量的調査のための質問票作成については、本年度(2020年度)行った既存研究の文献リサーチにより準備を進めてきたため、これをもとに作業をすすめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、早い段階で調査対象地(小地区)を確定させ、2021年度は量的・質的調査を実施する。具体的には、確定した調査対象地(小地区)の地域活動や諸組織にかかわる人々へのインタビュー調査ならびに地域行事の参与観察などの質的調査を実施する。これと並行して、量的調査のための質問票の作成を進める。量的調査の実施は、2021年度後半を予定している。現段階では、量的調査は調査対象地(小地区)を5つを予定し、該当する地区の町丁目情報をもとに、各区の調査対象者を住民基本台帳抄本から抽出する。調査規模は、各区600票、合計3,000票とし、郵送調査を行う計画である。しかしながら、2021年度に入った現在も、新型コロナ感染は終息をみておらず、予定どおり量的・質的調査が実施できるかはきわめて流動的であることから、以上の研究計画の遂行が懸念される。新型コロナの感染状況に応じて柔軟に、今後の研究推進に努めたい。 2021年度の量的・質的調査が順調に実施されれば、研究終了年度の2022年度は、これら量的・質的調査の結果を分析し、その研究成果を調査報告書をまとめ、国際学会で発表することとしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染により中止・延期された海外調査(台湾・台南市)と東京23区自治体職員へのインタビュー調査の実施。
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