研究課題/領域番号 |
20K02079
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岸田 未来 立命館大学, 経営学部, 教授 (60342424)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スウェーデン / 賃金交渉 / 労使関係 / 数値なし協約 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究計画は、各労使団体の賃金政策に関する先行研究とアーカイブス資料を現地で2回に分けて収集し、2000年代以降の頂上経営者団体および労働組合団体の賃金政策と、その傘下にある産業別労使団体のより具体的な賃金政策を明らかにすることであった。とくに①労働組合団体が掲げてきた同一労働同一賃金の原則が、現在ではどのような内容として位置づけられているのか、②また新しい協約タイプの「数値なし協約」が、いかなる労使の賃金政策の合意の下で広まっているのかに焦点を当てる予定であった。しかし2020年度はコロナ禍のため、予定していた2回の現地調査を実施することができず、結果として現在手元にある資料の分析で可能な範囲において、上記の研究計画を遂行することとなった。研究実績としては、上記の②にあたる「数値なし協約」の実態について、以前に行ったインタビュー調査と資料を用いて、産別レベルから企業レベルの実態をケーススタディによって明らかにすることが出来た。その内容は、スウェーデンの労働市場において産別レベルで具体的な賃金上昇額を規定しない数値なし協約が、ホワイトカラー(特に管理職と専門職)に浸透しつつある一方で、ブルーカラーはこれら協約を拒否している。また民間経営者団体側は、数値なし協約の導入・普及を通じて、最終的には上司と従業員との個別賃金対話による米国型に近い賃金決定システムの導入を図っていることが分かった。これらの実績については、学会発表と公表論文として成果となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため現地調査を実施することができず、全て現在手持ちの資料を用いて研究を行わざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度において、2回の現地調査を予定しているが、コロナ禍のためどこまで実施出来るのかは不透明である。そのため、日本から入手できる資料等を最大限利用して、出来る範囲で当初予定の研究課題の解明を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2020年度において予定していた海外調査2回がコロナ禍のために実施出来なかったことによる。申請金額の大半は旅費として執行予定であった。次年度使用額の使用計画としては、2021年度に予定していた年2回の海外調査に加えて、さらに1回の海外調査を増やすことを検討している。ただし、現状では2021年度の夏に海外調査を実施出来るかどうかは不透明なため、実施可能か否かの状況を踏まえて、もし無理であった場合は、研究期間の1年延長を検討する。
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