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2020 年度 実施状況報告書

多元的アプローチに基づく都市の公共空間における自由の規定要因

研究課題

研究課題/領域番号 20K02083
研究機関一橋大学

研究代表者

堂免 隆浩  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (80397059)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード多元的アプローチ / 都市 / 公共空間 / 自由
研究実績の概要

本研究は、学術的問いとして「なぜ本来自由であるべき都市の公共空間において地方自治体が自由を制限するのか?」を解明することを目的とする。そして、都市の公共空間の典型として公園に着目する。
令和2年度は、1)公園政策の確認、および、2)公園の類型化、を行う計画としていた。1)公園政策の確認では、日本における公園制度の歴史的展開、および、都市公園法の制定から改定の経緯ついて記述してある文献や資料を活用した。都市の公共空間における自由の制限との関連では、日本では国からの通達により、公園における行為の許可および制限の内容が一律に規定されてきたことを確認できた。それでも、ボール遊びの禁止等は一律に規定されてきた行為の許可および制限の項目に含まれておらず、首長が必要と認めた場合に制限される行為であることも確認できた。このような全国で一律の行為の許可および制限という傾向に変化をもたらす可能性として、2017年の都市公園法改正があることが分かった。法改正では、ボール遊びなど地域の多様な公園利用ニーズに応じた公園ごとの利用ルールを策定することを目的とした協議会制度の創設が示された。これにより、これまでと異なり、公園において地方自治体による自由の制限のあり様は多様化する可能性があることが分かった。2)公園の類型化では、国土交通省による都市公園の類型を確認した。この類型は、利用者の誘致距離と公園規模、あるいは、用途に基づくものであった。さらに、2017年の都市公園法改正に伴う協議会制度の創設から、協議会を設置する単位の違いで公園を類型できる可能性を確認した。具体的には、地方自治体が管理する全ての公園で1つの協議会が設立される場合、複数の公園で1つの協議会が設立される場合、1つの公園で1つの協議会が設立される場合、であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度は、1)公園政策の確認、および、2)公園の類型化、を行う計画としていた。1)公園政策の確認に関する作業では、主に、公園制度の歴史に関する文献、および、法制度の制定・改正について解説を行った文献の収集および考察を行った。文献の収集と考察を進める中で、国からの通達により全国の地方自治体が一律に公園での自由の制限の対応をしていたこと、また、2017年の都市公園法改正により地方自治体の多様性が高まったことを確認できたことで研究の進捗がみられた。当初の計画では、海外での現地視察も予定していた。しかし、海外への渡航が難しい状況であったため計画を変更し、既存文献の収集で代用することで対応できた。2)公園の類型化の作業では、国土交通省が公開している統計データや、都市公園の動向に関する文献の収集および考察を行った。

今後の研究の推進方策

令和3年度は、3)個別自治体への面接調査、を行うことを計画している。令和2年度の1)公園政策の確認の作業、において、2017年の都市公園法改正に伴う協議会制度により協議会の設置単位の違いから地方自治体を類型できる可能性を確認できた。具体的には、地方自治体が管理する全ての公園で1つの協議会が設立される場合、複数の公園で1つの協議会が設立される場合、1つの公園で1つの協議会が設立される場合、である。研究計画では、全国の地方自治体を地方ごとで無作為に選出し面接調査を行うことを予定していた。しかし、地方自治体により公園での自由の制限の対応方針に違いがあるのであれば、違いに応じて面接調査を実施しても良いと考えられる。例えば、令和2年度の作業の中で、千葉県船橋市では、市全体の公園を対象としてボール遊びの実施が検討されたことを確認できている。船橋市を「全ての公園で1つの協議会が設立される場合」の典型事例として面接調査を実施することもできる。

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公開日: 2021-12-27  

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