研究課題/領域番号 |
20K02087
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
中村 裕美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20444937)
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研究分担者 |
森山 葉子 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (10642457)
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
森川 美絵 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (40325999)
京極 真 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50541611)
中谷 直樹 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (60422094)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 在宅生活 / 高齢者 / 社会的関連QOL尺度 / 要支援 / 介護保険 |
研究実績の概要 |
2020(令和2)年度には、3つのプロジェクトを遂行してきた。1つは、文字情報のみの質問紙という手段を用いることに限界のある 認知や言語表出に問題を抱える人々を評価の主体に組み込む仕組みを構築することであった。そのために、2019年度までに構築してきた質問紙に基づくイラスト版(the Adult Social Care Outcomes Toolkit-Easy Read version)の日本版を構築した。米国シカゴのエージェントを仲介し、翻訳の国際指針に則り、原版の英国版から日本語への変換を、順行翻訳,逆翻訳、2巡目の順行翻訳と、2巡目の逆翻訳、そして、言語学専門家と開発者を交えた討議を繰り返してきた。言語的妥当性を確認できたのち、当該のエージェントが雇用したイラストレーターが作成したイラストの討議を行ってきた。 2つ目のプロジェクトは、介護保険を利用する家族を介護する介護者(ケアラー)版質問紙(the Adult Social Care Outcomes Toolkit for Carer)の日本語版の開発である。現在までに、国際学術誌に投稿し、査読結果に従って修正稿を作成中である。 3つ目のプロジェクトは、生活支援サービス利用者とその家族介護者50名を対象とした前向きコホート研究である。我々が開発した質問紙(サービス利用者と家族介護者別)を用いて、訪問リハビリテーションの機会を捉えて、6か月毎に、彼らの生活の質を評価している。また、サービス利用者には、フレイル指標の観察を行っている。具体的には、対象者を、要支援の在宅高齢者とその家族介護者100ペアと予定し、1年間追跡している。現在まで40ペアのデータを収集済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19により様々な制約が生じている。1つ目のプロジェクトについては、会議をオンライン開催のみとしてきたために、対面で実施するよりも多くの準備と確認作業を要した。 また、コグニティブ・ディブリーフィングに招聘される潜在的被験者には、何らの健康上の問題を抱えており介護保険を利用する人々を想定している。そうした人々に不利益を被らせないために、被験者と我々研究者の双方がワクチン接種が終了するまでは、接触を控えるべきであると考えた。 3つ目のプロジェクトでも、感染への懸念から、訪問リハビリテーションの中断を申し出る被験者や家族もいる。そうした状況から、いったん被験者として登録されても、データ収集の継続を中断せざるを得ないペアも多発している。
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今後の研究の推進方策 |
1つ目のプロジェクトについては、2021年夏にイラストの策定が終了する見込みである。この次に実施予定であるのが、潜在的被験者を招聘してのコグニティブ・ディブリーフィングであり、彼らからイラストと質問項目との整合性に関する意見を聴取する。COVID19の収束状況に左右されるが、2021年度中には予定の10名からデータを取得する準備をしている。 3つ目のプロジェクトについては、取得済の40ペアの解析を進めて傾向をつかむ。それと並行して、残り60ペアについても、2021年秋を目途に収集できる予定である。100ペアのデータがそろったところで、解析を行い、学術誌に投稿できるよう報告書を作成する。 さらに2021年度は自治体の協力を得て、大規模調査を計画している。介護保険利用者とその家族からそれぞれ得た情報をペアリングして、本研究で用いているアウトカムで得られるスコアの特徴を、介護レベル、家族情報、経済情報等から明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID19による制限が原因で、旅費を使う機会が得られなかった。また、健康に何らかの問題がある人々への接触も制限されたために、謝礼が必要な活動を行うことができなかった。
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