本研究では,朝鮮学校卒業生の生活世界を調査を中心にしつつ,検討を行ってきた。朝鮮学校の学生数が減少している要因の一部は,卒業生たちですら子どもを朝鮮学校に送らないという事実である。では,かれらは朝鮮学校やそこで学んだ「民族」,そして<祖国>からは距離をとるようになっているのかという問いからスタートした研究であり,かれらのネットワークのあり方を研究したものである。 たとえ,子どもを日本学校に送るという選択をしても,民族としてのアイデンティティー,祖国(分断国家)に対しては,なんらかの複雑な態度をもちつつ,そして,卒業生たちのネットワークを強固に保ち,生活世界を形成していることがわかった。
|