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2020 年度 実施状況報告書

パリのフィリピン人家事労働者とその生活世界――非正規滞在、正規化、正規化後

研究課題

研究課題/領域番号 20K02094
研究機関津田塾大学

研究代表者

伊藤 るり  津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (80184703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード家事労働者 / フィリピン / フランス / 移住労働 / ライフストーリー
研究実績の概要

パリで働くフィリピン人家事労働者の就労歴、移動歴、ならびに生活世界を解明することを目的とする本研究は、初年度夏にパリ現地で、目標約20名のうちの3分の1程度に聞き取りを行うことを予定していた。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大が日仏両国で進行し、出入国が困難、もしくは安全に現地調査を行うことがむずかしいため、計画変更を行い、初年度は主として下記4点に注力することとした。
(1)コロナ禍が移住家事労働者の就労・生活状況に与える影響を各地の家事労働者運動組織が発信する情報等を通して把握すること。また、その中で、本研究が研究対象とするパリのフィリピン人家事労働者の状況を位置づけること。
(2)パリ地域における非正規移住家事労働者の正規化キャンペーン――フランス民主労働同盟、CFDTを拠点とする――については過去9~10年間に断続的に調査を行い、不十分ながら一定の蓄積がある。これらの調査データや収集資料の整理・分析を行うこと。
(3)(2)と同様に、フィリピン人家事労働者に対する聞き取り調査にも一定の蓄積があるので、これらを読み直し、ライフストーリーとしての再構成、ならびに今後の補充調査に向けて準備を進めること。
(4)本研究に関連する理論、実証両面における先行研究の整理を進めること。とりわけ、家事労働のグローバルな労働市場を想定した「段階的移住労働」論の検討を進めること。
以上のほか、本研究に先行してまとめた編著『家事労働の国際社会学――ディーセント・ワークを求めて』(人文書院、2020年2月刊行)の書評セミナー(オンライン開催)をお茶の水女子大学ジェンダー研究所と共催(2020年11月15日)し、その知見の共有と発信を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、初年度に予定されていたパリ現地調査を先送りすることとなった。このため、進捗状況としては「やや遅れている」と評価している。
なお、「研究実績の概要」に記したように軌道修正を行うことで感染状況の終息しだい挽回できるよう、準備作業を進めている。

今後の研究の推進方策

2021年度以降の調査研究も、新型コロナウイルスの感染拡大状況の影響を受けることになるが、EUではワクチン接種を条件として出入国規制を緩和する方針も打ち出されている。日仏両国の状況を見極めて、安全な環境が整いしだい、現地調査に着手したいと考えている。計画ではフィリピンでの現地調査も予定しているが、これも上記同様に進める。
また、調査実施困難な状況が長期化する場合に備えて、過去の断続的調査で得られているデータと本研究で新規に予定していた聞き取り調査の関係を見直し、前者のみで得られる知見に基づいて仮説生成的に成果発表を行う方向性を探ることとする。
なお、新型コロナウイルス感染拡大で、パリのフィリピン人家事労働者が築いてきたネットワーク、就労機会、生活基盤にも大きな影響が及んでいることが推測される。この点の解明を、今後の研究の新たな課題として、視野のなかに入れて進めていくこととしたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、パリでの現地調査を次年度に延期したため。
次年度使用額については、安全に現地調査が実施できる条件が整いしだい、旅費、宿泊費、調査協力者謝礼、通訳謝礼などに充てる。このほか、国際移民とジェンダー関連図書文献の購入、ならびにオンラインによる調査研究及び会議のため、タブレット型端末の購入に充てる予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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