研究課題/領域番号 |
20K02096
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小笠原 盛浩 東洋大学, 社会学部, 教授 (00511958)
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研究分担者 |
山口 浩 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (70433761)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フェイクニュース / 誤認知 / 利用と満足 / ソーシャルメディア / 政治参加 / 消費行動 |
研究実績の概要 |
コロナ禍により本研究課題における調査・分析手法の大幅な見直しが必要になったと判断した結果、2020年度は①調査・分析手法見直しのための予備的な調査・分析を実施した。また、次年度の衆院選で実施予定の調査に備えて、②既存調査データを日米比較の観点から再分析し、ニュース情報の誤認知メカニズムの知見を整理した。 ①2020年度はメディアのニュース報道や社会のニュースへの関心が新型コロナウィルス関連のもの一色に染められたと言っても過言ではない。結果、人々がニュース情報に接触し、ニュース情報の「事実」「虚偽」を認知するほとんどのケースにおいて、彼らのコロナ禍への心理的態度(新型コロナウィルス感染への不安感等)が大きく影響すると考えられる状況となった。当初計画で予定していたオンライン心理実験の手法では、このようにニュース情報の「事実」「虚偽」認知全般にコロナ禍への心理的態度が影響する状況は想定していなかったため、調査・分析手法を大幅に見直すことが必要と判断した。調査・分析手法の見直しの前段階として、コロナ禍への心理的態度とニュース情報接触、ニュース情報の認知との関連を把握する予備調査をオンラインアンケートで実施した。同調査データは現在分析中である。 ②さらに、2021年度の衆議院議員選挙で政治関連ニュースの誤認知に関するオンライン調査を計画していることから、2019年参院選時の調査データを日米比較の観点から再分析し、メディア環境とニュース情報の誤認知との関連の知見を整理した。 ①の予備調査は2021年1月に実施し、現在はデータを分析中である。②の日米比較分析結果は、2020年度APSA(American Political Science Association)カンファレンスにて査読付発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、ニュース情報の「事実」「虚偽」の誤認知のメカニズムを把握するため、政治・消費2領域のニュース情報について調査し、比較分析することを予定していた。ニュースジャンルの違いによるニュース情報の認知の差異を統制することで、ニュース情報の誤認知のより一般的なメカニズムを明らかにすることを目的としていたのである。 しかしながら、2020年度はコロナ禍によってニュース報道・社会のニュース関心が新型コロナウィルス関連のもの一色に染まった。政治行動・消費行動に関わらずほぼ全てのニュース情報の認知に、新型コロナウィルスに対する不安等の態度が大きな影響を及ぼしていると考えられ、当初計画のままではニュースジャンルによるニュース情報の認知の差異を識別することが困難になった。 したがって、現状の日本社会における、人々のニュース情報の誤認知メカニズムを把握するには、まずは「コロナ禍に対する態度」の影響度合いを把握した上で、他の要因の影響と切り分けられるように調査・分析手法を見直すことが不可欠と判断した。 2020年度の研究の稼働は、当初計画見直しのための予備調査データ収集と、2021年度実施予定の衆院選調査の準備で占められたため、当初計画と比較すると「やや遅れた」状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍におけるニュースメディア利用状況・ニュース誤認知状況の予備調査データを分析し、「コロナ禍に対する態度」の影響を切り分けられるように調査・分析手法を見直し、オンライン心理実験・オンライン調査を実施する。 政治関連ニュースの認知に関する調査は、今年度の衆議院議員選挙での実施を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって人々のニュース情報接触行動・ニュース情報認知が大幅に変化し、調査・分析手法の見直しが不可欠となったため、2020年度に計画していた調査(オンライン心理実験)等の予算は執行していない。 2021年度は、実施済の予備調査の分析を踏まえて調査・分析手法を見直した上で、オンライン心理実験等を実施する予定である。
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