研究課題/領域番号 |
20K02106
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 教授 (30303572)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 朝鮮通信使 / 地域づくり / 日韓交流 / 在日コリアン |
研究実績の概要 |
2021年度は、20年度の朝鮮通信使調査の続きとして、岡山県瀬戸内市牛窓町の朝鮮通信使の展開に焦点をおいて調査研究を実施した。瀬戸内海に面した牛窓町は戦後観光振興という地域づくりを行いながら、「通信使の掘り起し」も併せて進めた地域である。また岡山県の在日コリアンと交流しながら、通信使の再現行列を通じたネットワークを形成した。牛窓町が通信使の歴史を認識したのは、牛窓町の唐人踊が通信使の歴史を受け継いだ地域文化として注目されたからである。牛窓町は1988年に「朝鮮通信使資料館」を開設すると同時に、通信使のイベントを開催した。1990年代に牛窓町は通信使の拠点である対馬市と交流しつつ、対馬市の通信使行列を取り入れた。牛窓町は通信使行列再現を、1992年に「エーゲ海フェスティバル」という地域祭りの一環として開催していった。その後2000年代に入って、牛窓町は邑久郡の邑久町や長船町と合併した。合併後に財政不足問題が浮上し、再現行列は、民間中心の「瀬戸内牛窓国際交流フェスタ」として行うこととなった。 21年調査の成果として、牛窓町の通信使は、①観光振興中心の地域づくりに朝鮮通信使の歴史が有効であったこと、②交流資源として、地域間交流(対馬市)と岡山県の在日コリアンという2つの交流をもっていることがあげられる。これらを通じて、港町における朝鮮通信使の受け入れを検証できた。今後の課題としては、大阪で陸に上がって、陸路における朝鮮通信使の地域交流を併せて検証していくことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
21年度は、地域住民より貴重な資料を提供され、それをもとにして、調査論文を執筆することができた。また、地域住民との信頼関係を築き、今後の調査も問題なく実行できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
22年度は、瀬戸内海の調査は終わり、京都市の朝鮮通信使や岡崎、静岡市の朝鮮通信使の受け入れについて調査していく予定である。既に、調査対象者とは面識があり、順調に調査を進められると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
21年度はコロナ禍のため調査研究の回数を減らして実施した。そのため、予定通りの科学研究費を使用することができなかった。22年度は、京都や静岡、岡崎への調査を予定通り実施していく予定である。
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