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2022 年度 実施状況報告書

貧困低所得層の世代的再生産についての家族社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02117
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

稲葉 昭英  慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30213119)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード教育達成 / ケア / 社会階層 / 子育て / 貧困 / 共働き / ひとり親世帯 / 結婚
研究実績の概要

本研究は貧困低所得層の世代的再生産の過程を解明することを目的としているが、代表者である稲葉はこのテーマに基づいて三田社会学会シンポジウム「変容するライフコースへの計量的接近」にて「結婚の脱制度化命題の検討」を報告した。この研究は全国家族調査(NFRJ)の3つのデータを用いて大卒と非大卒とで家族行動がどのように異なるのかを数量的に分析したものである。この報告内容はまもなく論文として公刊される予定ある(印刷中)。また、世代的再生産の理論化にあたって「ケア」の理論化が不可欠であると考え、論文「弱いケアと強いケア:ケア概念の分節化と統合」を発表した。この論文は育児、介護など労働性の強い行為の背後にある配慮・気配りといった労働性の弱いケアに注目したもので、ケアの理論化を志向したものである。さらに、ドイツ・ビーレフェルト大学のFredrick de Mollと日本の子育てに関する階層間の差異に留意した論文"Transformations of early childhood in Japan: from free play to extended education”を発表予定である(印刷中)。この論文は日本社会における子育ての変容、とくに未就学の時期の教育投資などの階層差に着目したもので、あわせて社会政策の動向についても論じている。
また、共働き世帯の一般化にともない、中間層の階層再生産戦略に着目し、研究協力者Conner Zelmerと共同で3組の家族の参与観察研究を行った。今後、彼と学術誌に投稿することを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍のため、予定していた共同研究や学会報告が延期となったが、論文や研究報告自体は予定通り遂行できている。

今後の研究の推進方策

研究成果の国際発信をすべく、今夏に研究協力者らとアメリカ社会学会大会への参加を検討している。また、これまでの研究を統合して書籍化することも検討中である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で国際学会に出席ができず、また海外の研究者を招へいすることもできなかった。このため、旅費の支出が予想をはるかに下回ることになった。
次年度はアメリカ社会学会大会など海外の学会に積極的に出席し、成果の報告を考えたい。
また、研究協力者Frederick de Mollとの研究打ち合わせのために彼を招へいするか、こちらがドイツに赴くことも検討中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 弱いケアと強いケア:ケア概念の分節化と統合2022

    • 著者名/発表者名
      稲葉昭英
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 7 ページ: 102-112

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 結婚の脱制度化命題の検討2022

    • 著者名/発表者名
      稲葉昭英
    • 学会等名
      三田社会学会大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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