今年度は、前年度までに引き続き川崎の在日大韓キリスト教会や川崎ふれあい館を中心として形成されたコミュニティの人々への聞き取り調査を実施した。特に、川崎における反差別の市民運動の実践がキリスト教会や宗教的実践との結びつきとの関係性が深いことに着目して、教会関係者への聞き取り調査を行なった。一連の研究調査から明らかとなったのは、1970年代より川崎教会を中心として展開してきた反差別のアイデンティティの政治がアメリカのアフリカ系アメリカ人の公民権運動やその後の運動から影響を受けていたことともに、教会に集った次世代の在日コリアンたちがラップ音楽などを通じてポストアイデンティティの政治として継承していることである。これらの成果は、研究調査の成果の一部を関西社会学会大会(2023年5月実施)シンポジウム及びカルチュラル・タイフーン(2023年9月実施)シンポジウムにて報告した。関西社会学会大会シンポジウムでの報告内容を論文としてまとめて『現代社会学フォーラム』第23号(2024)に寄稿して掲載される予定である。これらの研究活動とともに、反人種差別の実践としてのラップワークショップを広島朝鮮学校及びオルタナティヴスペースコアにて実施した(2023年6月)。また、同様の実践として、山本敦久(成城大学)、FUNI(在日コリアン3世のラッパー)、堀慎吾(以文社)とトークイベントを成城大学にて実施した(2024年3月)。
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