研究課題/領域番号 |
20K02120
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
中村 雅子 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (00217895)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | クラウドファンディング / Covid-19 / 提案者 / 支援者 / エコシステム / プラットフォーム |
研究実績の概要 |
本研究では、情報システムが街づくりに効果的、継続的に活用されるための要件を検討することを目的としている。しかしながら研究開始直後からいくつかの要因で本研究には多くの課題が生じた。昨年の進捗の欄でも述べたように本研究はCovid-19感染拡大で大きな影響を受けた。また、研究計画立案以降に研究対象であるクラウドファンディングという社会事象そのものにも大きな変化が生じた。この変化は、それ自体貴重な研究対象だが、Covid-19の影響で本来予定していたクラウドファンディング調査対象地への対面訪問取材ができなったことに加えて、その間に調査対象としていた地域系クラウドファンディングの多くをサポートしていた事業者が当該プラットフォームを終了し、他のサービスと統合するという事態が生じた。また従来、地域系のクラウドファンディングの中核的なシステムとして購入型・寄付型のクラウドファンディングを想定して計画を策定していたが、その後、行政を含めたクラウドファンディングのエコシステムを考えるうえで、異なる仕組みを土台としたふるさと納税型クラウドファンディングの比重が高まった。このため2023年度は情報収集および最新の文献研究等を進めたほか、前年実施した大規模なクラウドファンディング調査の分析を進めその成果を発表することを優先した。結果としてCovid-19前後の提案者の実態調査に基づく査読論文が採択、出版された他、学会発表1件を行った。またCovid-19後の実践の事例取材を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は現地への訪問取材を重視して立案したが、2020年度以降の3年間にCovid-19感染に対する全国的な緊急事態宣言・蔓延防止策などの施策や、それらに基づく大学の研究方針(国内外への出張禁止など)が長期に渡ったため、大きな影響を受けた。さらに研究立案以降に研究対象となるクラウドファンディングという事象そのものにも大きな変化が生じた。さらに主たる対象として予定していた活動の多くの情報システム提供事業者がサービスを終了したことで、新たな取材対象の選定に難航した。一方で、この間に前倒しで実施した大規模調査の分析と成果発表を進め、査読誌に掲載することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
実査対象となるクラウドファンディングの地域・プラットフォームについて理論サンプリングをきちんと進めるための予備検討に時間がかかったが、延長をお認め頂いたことで、この1年で実査を進め、成果を取りまとめる予定である。地域取材についても次年度にキャッチアップ予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実査対象となるクラウドファンディングの地域・プラットフォームについて理論サンプリングをきちんと進めるための予備調査に時間がかかり、地域実査の本調査が遅れている。これに伴って「旅費」の執行割合が低くなっている。なお採択時点ではオンラインコミュニケーションが社会的に一般化しておらず、またその効果についても疑問が大きかったため実地調査はすべて現地を訪問して対面で行う予定であったが、その後、Covid-19対応で急速にオンライン会議が一般化した社会情勢を踏まえて、一部はオンラインで行うことを検討している。一方で、量的調査(「その他」の費目に含まれる)については、状況の変化を踏まえてより詳細なデータを取得するためにサンプル数・項目数を増やしたため当初予定よりも費用がかかった。合わせて、今後、資料整理、文字起こし委託費などのための一定の支出が予定されている。全体としては当初予算の範囲内で、Covid-19の影響に対応した形での適切な支出を行う予定である。
|