研究課題/領域番号 |
20K02121
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
森下 直紀 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (40589644)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カナダ水俣病 / オーラルヒストリー / カナダ先住民 / 環境史 |
研究実績の概要 |
本研究は、カナダ水俣病としても知られるアニシナベ先住民に対する水銀公害事件に対して、生活環境主義の観点からアニシナベ先住民の生活環境を明らかにすることを目的とする。世界で最初に研究を行なったのは、宮本憲一他による世界環境調査団であった。その後、原田正純(後に花田昌宣)を中心とした調査が定期的に行なわれているが、医学調査以外の分野において、1970年代以降ほとんど実施されていない。当該年度では、生活実態の解明を、現地滞在調査によって実施する計画であったが、昨年度同様に新型コロナ感染症の世界的な流行状況が継続したため、現地調査は実施できなかった。また、現地協力者を募りオンラインでの調査を試みたが、実現にはいたらなかった。他方で、昨年度から着手しているシンポジウム等におけるナラティブの資料化について、当事者または遺族の同意を得ることができた。ナラティブ中に含まれる情報の検証を経て、本年度中に『水俣学研究』に掲載する予定としている。さらに、2019年度に実施したシンポジウムの資料化を実施し、『和光経済』に掲載した。 また、これまでの調査・研究の成果として、アニシナベ先住民の公害被害確認前後の社会経済状況を比較することで、社会的費用論および被害構造論の問題点を検討した論考を分担執筆図書(『現代に問う経済のあり方、経営のあり方』)に掲載し公刊した。論考では、社会的費用論や被害構造論が検討する被害が長期にわたる場合に、救済や賠償の枠組みが社会復興に合致するかどうかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定では、昨年度計画していた1970年代までの公害発生状況に関する資料をハーバード大学、ヨーク大学、カナダ図書・公文書館において史料の渉猟をおこなうとともに、アニシナベ先住民の二つの保留地を訪問し現地調査を行なう予定であったが、これは実施できなかった。また、国内に利用可能な史料の探索にも制限が伴った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、文献史料調査とともに、ナラティブをベースとした質的研究手法に基づき実施される。個別の生活環境に関する聞き取り調査、連邦政府や州政府の各種制度の検証を過去の事例と比較検討することで、研究目的を達成する。現在の感染症蔓延状況において、少しずつ調査・研究の制限が緩和されつつあるので、可能な限り早期に当初研究計画上の調査を開始したいと考えている。次年度以降にアニシナベ先住民の保留地を訪問することについて、現地に確認をとることを開始している。また、当該年度では実現しなかったが、オンライン環境を用いた調査についても引き続き模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、新型コロナ感染症の蔓延状況により、国内外で予定していた調査および会議目的による使用が無かったためである。コロナ感染状況の改善に伴って、渡航調査を実施するとともに、状況が改善されなかった場合でも可能な限り予定された研究を実施するために、非対面において調査活動を行なう予定としている。こうした調査形式においても、対面と同様に調査協力者に謝金支出を計画している。
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