研究課題/領域番号 |
20K02126
|
研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
武田 里子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30570410)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 結婚移住 / 国際結婚 / 日系ハーフ / 東アジア / 国籍法 |
研究実績の概要 |
本研究は東アジア(日本・韓国・台湾)における国際結婚に占める主要な存在でありながら先行研究が看過してきた日本人女性とその子どもたちの聞き取り調査を通じ、生活圏としての東アジアの可能性と課題を明らかにすることを目的に設定した。しかし、コロナ禍により海外出張が不可能となり、zoom学習会を中心に文献調査を中心とした研究を進めている。 学習会テーマ:①21/04/10「国籍はく奪条項違憲訴訟 地裁判決の検討」、②21/08/21「法務省の錯誤による日本国籍はく奪から国籍返還までの軌跡』、③22/01/08「帰化申請から許可まで」「国籍法11条1項訴訟提起に伴う新たな論点」
調査協力者との情報共有を目的に開設したホームページを通じて、①米国ワシントンに事務局をもつWashington Japanese Women Networkからウェブ会報への原稿依頼を受けたことをきっかけに情報共有のネットワークが大きく広がった。②また、配偶者の国籍国への出生届等によって子どもの日本国籍が剥奪された事例が国内外から届き、加えて日本国籍喪失後に受け取った児童手当の返還命令を受けた事例については、交渉資料を提供することで返還命令を撤回させる成果も生まれた。③「国際結婚を考える会」の依頼を受け、世界各国で暮らす日本人を対象とする国籍法に関するウェブ調査に協力(回答数1852件)。実践的研究としては一定の成果が上げられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により予定していた韓国と台湾での調査を実施することができず、現在も海外出張を行える見通しが立たないことが「やや遅れている」理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の状況が好転するのを待って海外調査を行いたい。それまでの間は国内でできる文献調査や聞き取り、zoomを使った学習会を重ねていく予定である。2022年4月自由人権協会から「日本の帰化行政の透明化等を求める提言」が出されたが、本学習会からの情報提供も反映されている。在外邦人の実情や現国籍法のもたらす問題状況の社会的共有が決定的に不足していることは明らかなため、論文に加えて調査結果の公開に力点をおきたい。移民政策学会での報告、『国際地域学研究』などへの論文投稿を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が大きく膨らんだ理由は、コロナ禍により予定していた海外調査をすべて中止せざるを得なかったためである。現段階ではコロナ禍の状況を見通すことはできないが、状況が好転次第、海外調査を実施する際に繰越金を使用したいと考えている。
また、旅費予算の一部を資料印刷費に振り替えたい。予定している報告書資料に収録する調査結果は以下の2点。①国籍はく奪条項違憲訴訟原告団が2019年に実施したアンケート調査(回答者497名)、②本科研調査協力団体である「国際結婚を考える会」が2021年3月から7月にかけて実施したアンケート調査(回答1852名)。①については筆者が調査分析を担当し、②については調査票の作成と分析に協力した。
|