研究課題/領域番号 |
20K02126
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
武田 里子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30570410)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 結婚移住 / 国際結婚家族 / 国籍選択制度 / 国籍法11条1項 / 移民政策 |
研究実績の概要 |
国際家族が直面する課題の中心に国籍法がある。日本政府が「国籍唯一の原則」をとっているため、複数国籍をもつ国際家族の子どもたちは萎縮している。そこで当事者による「国籍本音トーク」を開催した。また、ロシア国籍法がロシア国外で生まれた子どもに課している国籍取得手続きにより、日露家族の子どもが日本国籍を剥奪されている問題がある。この実態を明らかにするため、ウェブアンケート調査を実施した。国籍のあり方は各国の専管事項である。各国が異なる国籍法制をとる中で、日本政府はいかに「日本人の子ども」たちを守るのか。日露家族の問題には日本の国籍法制の矛盾が凝縮している。
2024年2月、ソウルで在韓日本大使館領事部、NHKソウル支局長、旧統一教会関係者の聞き取り調査を行なった。これは取材協力をしたNHKクローズアップ現代「旧統一教会残された問題―日本、韓国で今何が」(2023年1月30日放映)のフォローアップ調査である。民主化から2000年代に入るまでに韓国に結婚移住した日本人女性のほとんどが旧統一教会系であるが情報は限られている。台湾については2000年の移民法改正の新たな事実が確認できた。この改正によって、結婚移住女性は永久居留証(永住権)が取得できるようになったが、それ以前は台湾人配偶者と離死別すると台湾に居住し続けることができなかったということである。参政権を持たない日本人女性を支えたのが誰かというと、国民党の弾圧から逃れ日本に救いを求めたものの拒否されて、渡米した人たちである。
調査を通じて、戦後日本の原罪の一端ともいえる植民地政策の未精算問題が浮かび上がってきた。最終年度ではこれまでの調査研究を整理する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた台湾調査が関係者との日程調整が上手くいかず実施できなかったことが「やや遅れている」理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度である。日程調整ができなかった台湾調査を実施することと、世界各国が複数国籍容認に向かった90年以降、なぜ、日本はそれに逆行するかのように、在外公館などを通じた国籍法11条1項適用者の摘発に向かったのかを明らかにしたい。韓国をはじめ多くの国で「元国民」には国籍回復制度を設けているが、日本では帰化制度に一本化した。この差異も植民地政策の清算との関連で捉えることができる。さらに言えば、国籍法の問題から浮かび上がってくるのは国民主権の内実化の不十分さである。この問題は並行して進んでいる国籍法11条1項違憲訴訟原告団の支援を通じてさらに精緻化したい。
以上の問題意識を深めるために研究会を3回ほど開催するとともに、これまでの調査研究の成果は移民政策学会で報告し、最後に報告書として刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた台湾調査が関係者との日程調整が整わず延期になったことと、研究会等がzoom開催であったため支出が抑えられたためである。
2024年度は、海外調査旅費(台湾:20万円)、国内調査旅費(10万円)、会議室借用料・謝金(10万円)、書籍代(5万円)、報告印刷費・郵送料(20万円)ほかにより、ほぼ予定通り予算執行できる見通しである。
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