研究課題/領域番号 |
20K02127
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山中 速人 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80191360)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害記憶 / コミュニティ放送 / 阪神・淡路大震災 / メラピ火山災害 / 震災後世代 / 防災教育 / 番組国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究申請時に策定した2021年度の研究計画については、申請時には予測できなかったコロナ禍の全世界的拡大によって、変更を余儀なくされた。とりわけ、本国際共同研究の遂行におけるカウンターパートであるインドネシアの大学とりわけ被災地のコミュニティラジオ局においては、コロナ禍の被害が甚大で、研究計画における現地との学術交流が困難となった。 予定していたメラピ火山災害の被災地のコミュニティラジオ局による災害記憶継承/啓発番組の制作は、現地での制作作業に進捗が十分に見られなかった。 他方、阪神・淡路大震災の被災地のコミュニティメディアにおいて災害記憶継承番組の制作と評価調査は順調に進んだ。 番組制作は、同地震の被災地のコミュニティメディア、FMYYと関西学院大学総合政策学部の共同制作によって実施され、「データで語る阪神・淡路大震災」「人間が語る阪神・淡路大震災」の2つの性格の異なる番組が制作された。調査は、阪神・淡路大震災の被災地の大学に学ぶ震災後世代を対象として、この災害記憶の継承に特化した2つの放送番組の視聴をもとめ、反応と評価を求めるものであった。 この調査の結果は、災害記憶の継承における人的要素の重要性を示唆するものであり、その報告に当たる論文は、『総合政策研究』65号(2022年発行予定)に掲載を予定し、すでに原稿の校正段階に進んでいる。 また、本研究の研究協力機関である特定非営利活動法人エフエムわいわい理事、日比野純一氏による現地報告も、『総合政策研究』65号(2022年発行予定)に「ポリシー・トピック」記事として掲載を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時には予測できなかったコロナ禍の全世界的拡大によって、計画の進捗に大きな影響を受けた。とりわけ、本国際共同研究の遂行におけるカウンターパートであるインドネシアの大学、また、被災地のコミュニティラジオ局においては、コロナ禍の被害が甚大で、研究計画における現地との学術交流が困難となった。 メラピ火山災害の被災地のコミュニティラジオ局による災害記憶継承/啓発番組の制作は、現地のコロナ禍の感染被害がきわめて過酷で、スタッフを含めた現地関係者に健康被害や生命に関わる被害が発生し、現地での制作作業が多くの困難にみまわれた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の沈静化をまって、22年度は、現地での共同番組制作、共同研究調査を実施したいと強く期待している。それぞれの地域社会に応じた、柔軟な研究遂行体制を構築し、また、オンラインによる研究交流や会議も積極的に活用していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によるインドネシアへの渡航困難によって、現地での番組共同制作、研究調査活動が行えなかったため、これらの予算が次年度に繰越された。 使用計画 本年度に実施できなかった、メラピ火山災害についての災害記憶を継承する放送番組の制作を現地コミュニティ・メディアと共同制作する試みを次年度に実施する。そのために必要な現地への研究者派遣旅費、現地メディアとの共同番組制作費、また、制作・放送した番組についての番組評価調査実施費用等をコロナ禍の状況を注視しながら、順次執行していく予定である。
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