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2020 年度 実施状況報告書

東アジアの少子社会と生殖のジェンダー構造――男性の経験と意思決定の日韓比較

研究課題

研究課題/領域番号 20K02136
研究機関奈良女子大学

研究代表者

澤田 佳世  奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (60454998)

研究分担者 田間 泰子  大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (00222125)
洪 賢秀  明治学院大学, 社会学部, 研究員 (70313400)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード少子化 / 生殖 / 男性 / ジェンダー / 東アジア
研究実績の概要

本研究の目的は、日本と韓国をフィールドに、東アジアの少子化と生殖のジェンダー構造の変化を、生殖をめぐる〈男性の経験〉に焦点をあて考察することにある。少子社会で男性は、妻やパートナーの妊娠・出産前後から初期育児までの生殖の過程にどのように関わっているのか。本研究は、生殖のアクターとしての男性に着目し、少子化する日本と韓国の男性の子産み子育てをめぐる実践と意思決定のプロセスを、子育て世代の男性を対象とした半構造的インタビュー調査を軸に実証的に探究する。
初年度となる今年度は、コロナ禍の社会情勢もふまえながら、研究組織全体で4回のオンライン研究会を開催し、主に文献調査を中心に、既存文献のサーベイおよび公的統計と関連資料の一部収集に着手、インタビュー調査の準備を実施した。なお、新型コロナウィルス感染症の拡大状況に鑑みて、当初年度末から開始予定としていた現地調査は延期した。
8月の第1回研究会では、全体の研究内容と各自の役割分担の確認、インタビュー調査の実施時期や倫理審査の申請時期などコロナ対応による研究計画全体の再検討を行った。9月の第2回研究会では、各自の研究関心を確認し、調査対象者とその選定過程、インタビュー調査の調査項目を意見交換した。12月の第3回研究会では、研究代表者が作成したインタビュー・ガイド案に基づいて調査項目を検討、調査地や調査時期、調査対象者と選定方針、関連訪問先の調整を実施した。第2の人口転換、東アジアの少子化、男性の生殖・育児参加等に関する既存文献サーベイの中間概要報告も行った。日韓の生殖と男性に関する発展的な研究課題も検討した。3月の第4回研究会では、妊娠・出産・育児および子どもをもつことの意識と実践に関する質問項目を主とするインタビュー・ガイド最終案を作成し、研究代表者所属機関・奈良女子大学の倫理審査の申請書類の準備を行った(2021年4月末申請済み)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限により、国内での資料収集および国内外(沖縄、主に関西圏、韓国)でのインタビュー調査を含む現地調査を開始できなかったことが大きい。コロナ禍で次年度以降の状況予測をたてるのが難しく、倫理審査の申請時期とあわせ、調査対象者や協力者、関連する訪問先への調査協力依頼も翌年に持ち越すこととなり、現地調査の準備についても遅れが出ている状況である。
一方、研究組織全体で複数回にわたりオンライン研究会を開催し、全体の研究計画、とくにインタビュー調査の調査項目や調査方法、調査対象者とその選定方針について調整を重ねることができた。少子社会の生殖と男性に関する発展的な研究課題についても検討した。倫理審査の結果次第ではあるが、次年度以降、コロナ禍の社会情勢にあわせて調査の協力依頼およびインタビュー調査を開始する準備ができている状況である。
既存文献のサーベイおよび公的統計と関連資料の収集についても、上記理由により当初の予定よりは遅れがでているが、オンライン情報等を利用する形で研究者各自可能な限りすすめており、次年度に継続していくことができる状況である。

今後の研究の推進方策

研究2年目となる2021年度は、コロナ禍でのインタビュー調査の実現可能性を探りながら、以下3つの調査研究を継続して行っていく。
1)第2の人口転換、日韓を中心とする東アジアの少子化、生殖・家族とジェンダーに関する既存研究のサーベイを行い、知見を整理する。
2)調査対象国・地域の人口・出生動向と家族・労働・ジェンダー関連の社会経済構造に関する公的統計や関連資料のサーベイを行う。あわせて、少子化に関連する法制度の把握に努める。
3)新型コロナウイルス感染症の流行状況を見極めながら、日本(沖縄、主に関西圏)と韓国で、20代から40代の子育て世代の男性を対象とするインタビュー調査の実施を検討していく。倫理審査の結果により調査開始が可能になり次第、2021年度はとくに日本国内での調査に優先的に対応する予定である。行政や医療・助産機関が提供する出産準備教室などへの訪問も準備する。韓国については、2022年度の実施も検討しながら準備をすすめていく。
なお、コロナ禍の社会情勢に鑑みて、インタビュー調査については、調査対象者の希望に応じてオンライン対応の併用も検討する。また、当初予定していた全体の研究期間を延長し、現地調査を含み4年計画での研究目的の達成も念頭においている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限により、国内外での現地調査を次年度に延期し、学会参加はオンラインで行ったため、国内外旅費を中心に未使用額が生じた。インタビュー調査に関連して執行予定だった人件費・謝金等も加えて次年度使用額が生じた。
次年度は、延期した現地調査の実施および学会・研究会参加のため、国内外旅費を主要経費として使用する。本研究はインタビュー調査を主な調査手法とするため、音声データの文字起こし、調査対象者・協力者への謝礼など人件費・謝金の使用も必要とする。物品費は主に、本研究の学術的基盤を成し分析に必要な図書費、インタビュー調査で収集した音声データや文字起こしデータ等の安全な保管のための外付けHDDや各種記録媒体、および他のデータ・資料等保存のための記録媒体の購入のために使用する。そのほか、現地調査での交通費、文房具等の消耗品費、資料複写費、調査関係者との通信費等を使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 大正から昭和初期におけるリプロダクションの状況と産婆―京都府助産師会資料「貧産婦助産取扱記録簿」を手がかりに2021

    • 著者名/発表者名
      田間泰子
    • 雑誌名

      女性学研究

      巻: 28 ページ: 37-72

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東アジアにおける出生前遺伝学的検査の経験と認識―意識調査を手がかりに―2021

    • 著者名/発表者名
      洪賢秀・大久保豪
    • 雑誌名

      明治学院大学社会学部付属研究所研究所年報

      巻: 51 ページ: 159-170

  • [学会発表] 沖縄の出生力と人口転換2021

    • 著者名/発表者名
      澤田佳世
    • 学会等名
      奈良女子大学・神戸女学院大学合同研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Prenatal Testing in East Asia: Differences in Information Provision and Choice2020

    • 著者名/発表者名
      Hong, Hyunsoo
    • 学会等名
      The Society for Social Studies of Science (4S)
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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