日本では1990年代以降、社会保障制度等の面では既存の制度に大きな改革がおこなわれないまま、労働市場の二重性の深化が進んできた。それと同時に、少子化を背景にワークライフバランス政策が進められてきた。本研究は、このような状況が子どもを育てる女性の労働へもたらしたインパクトを検討するものであった。分析結果からは、出産・子育て期の女性の就業率の上昇は確認できたものの、いったん離職した女性が、正規雇用就業し、よりよい賃金が保障される仕事に就くことは依然として難しい状況にあることが示唆された。ここから、ワークライフバランス政策がターゲットする対象を再考するなどの政策的な対応の必要性が示唆された。
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