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2020 年度 実施状況報告書

再生可能エネルギーを活用した持続的な地方創生に関する日独比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02157
研究機関長崎大学

研究代表者

保坂 稔  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (80448498)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード価値的保守 / 価値創造 / 持続可能性
研究実績の概要

環境先進国ドイツにあっては、ドイツ政府が実施する「バイオエネルギー村への道」プロジェクトなどの再生可能エネルギー事業が地域社会において受容され、地域創成に貢献している。本研究では再生可能エネルギー事業が地域社会に受容されている要因について、これまで実施してきたインタビュー成果を踏まえて理論的な整理をした。まず、バーデン・ヴュルテンベルク州にあるフライブルクは環境首都とされているが、その一因としてこれまで「黒い森」の存在が指摘されていた。本研究では「黒い森」の多様性が地域住民の環境意識を促進しているという点についてまとめた。
また、バイオエネルギー村関係者の再生可能エネルギープロジェクトへの参加動機について、バーデン・ヴュルテンベルク州の州都であるシュットットがルト中央駅開発への反対運動であるS21運動の分析視点との関連で整理した。簡潔にいえば、キリスト教の「創造物の維持」が、「価値的保守」といった村の自然を保持するという考え方につながり、バイオエネルギー村の展開に貢献していることをまとめた。
さらに、これまで得たバイオエネルギー村関係者の参加動機を踏まえ、差別の問題について検討を加えた。たとえば、ドイツの環境政党である緑の党は、原子力発電所の段階的廃止に代表される環境運動に加え、性的少数者や難民などのマイノリティの人権保護にも貢献してきており、難民受け入れに積極的であった。ドイツでみられる環境運動と、マイノリティの人権保護の関連について、キリスト教の「創造物の維持」といった観点から整理した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、計画していたドイツでのフィールドワークができなかった。また国内も移動が制限されていたため、国内でのフィールドワークもできなかった。以上のような状況を踏まえて、これまで収集した資料を整理して、再検討を加えた。フィールドワークはできなかったが、英語論文の発表などで、研究成果をまとめることができた。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症の影響が当面続くことが予想されることから、引き続きこれまで集めた資料を整理し、分析することを中心に進めたい。また状況が許せば、国内のフィールドワークに加え、ドイツでのフィールドワークも実施したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、国内外でのフィールドワークができなかったことが最大の要因である。新型コロナウイルス感染症が収束し、国内外でのフィールドワークが可能になれば、例えばドイツへの年度あたり複数回の渡航などを検討したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Environmental Conservation Consciousness of the Black Forest in Germany: A Study on the Characteristics of Bioenergy Villages2020

    • 著者名/発表者名
      Minoru HOSAKA
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Science, Nagasaki University

      巻: 23 ページ: pp.1-9

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州におけるバイオエネルギー村リーダーの参加動機2020

    • 著者名/発表者名
      保坂稔
    • 学会等名
      第93回日本社会学会大会
  • [図書] マイノリティ問題から考える社会学・入門2021

    • 著者名/発表者名
      西原和久、杉本学、堀田裕子、後藤悠里、安林奈緒美、阿部純一郎、山口博史、郭基煥、中村圭、小坂有資、徳久美生子、保坂稔、佐藤直樹
    • 総ページ数
      356(226-242)
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      4641174636

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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