研究課題/領域番号 |
20K02157
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
保坂 稔 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (80448498)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 価値的保守 / 価値創造 / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、国内外でのフィールドワークが実施できなかったことから、「民主主義」対「専制主義」といったような対立軸がクローズアップされてきた状況も踏まえ、本研究でバイオエネルギー村の住民が文化的理念としているとして注目している「価値的保守」の位置づけについて、文献研究を中心に整理した。専制主義国家の分析にあたっては、フランクフルト学派第1世代のホルクハイマーらが取り組んできた権威主義研究が名高いが、環境問題の分析にあたって弱者-強者、ナチスの環境思想、戦後ドイツの環境政策と戦前の環境意識との関連といった分析視点の獲得についてはもちろんのこと、「価値的保守」といった現代のドイツ環境思想を把握する契機となり得る点について言及した。 また、「価値的保守」という言葉を改めて理論的に整理し、ドイツ語大辞典『DUDEN』の掲載時期が、1993年刊行の第2版からであることを見出した。加えて、バイオエネルギー村で事業促進に貢献している位置づけを占めるという語りが聞かれた「フェアアイン」(地域的な趣味のサークル団体)について、社会学理論との関係で整理した。具体的には、ヴェーバーが、「支配の社会学」で一種の自発的組織として「フェアアイン」に言及しており、期待を寄せていた点を見出した。「フェアアイン」に関する文献研究を踏まえた上で、これまでに得られている住民意識についての知見との関係で検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ドイツでのフィールドワークができなかった。国内移動も長期にわたり制限されていたため、国内でのフィールドワークも実施できなかった。以上のような状況を踏まえ、文献研究と資料整理を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツのバイオエネルギー村に関連する理論研究や、バイオエネルギー村でのインタビュー調査を実施する。新型コロナウイルス感染症の影響が続く場合は、インターネットを利用したアンケート調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症が収束していないことから、国内外でのフィールドワークが困難であったことが要因である。新型コロナウイルス感染症が収束すれば、国内外でのフィールドワークを実施するが、引き続き困難であるようであれば、インターネットを利用したアンケート調査を実施したい。
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