令和4年度の研究は,申請時の研究計画に示した項目で未発表及び令和3年度からの継続である「海外」と「団地」のコンパクトシティに注力した。 「海外」については,海外渡航が困難な状況によりGoogle及びGoogleマップを活用した。令和3年度に台湾の市区町村区分での6業種の事業所数を取得する手法を提案し発表した。発表時の質疑応答を踏まえて令和4年度はGoogleによる統計データの信頼性を検証した。その研究成果の特記事項として,検証手法のなかで深層学習(Deep learning)の利用がある。統計データを処理する分野では機械学習や深層学習の適用事例や活用手法の従来研究が少なく,本提案手法はひとつの方向性を示すものである。結果を統計分野の学会である経済統計学会において発表し,5年ごとに調査がおこなわれる(公的統計)経済センサスの補完利用および検証性の意義として用いられる可能性を得た。 「団地」については,従来研究で見ることができない「コンパクトシティのサーベイ論文」をまとめ,そのなかで,コンパクトシティの分類及び定義をおこない,本研究が対象とする該当地域になりうる団地と東京湾岸地域,海外のいくつかの都市を調査結果とともに紹介した。特に海外都市においてはその成り立ちの歴史的経緯もあわせて示した。 付随した研究成果の2点示す。令和3年度に継続して「待ち行列のシミュレーション手法」について制御精度の向上を図った。具体的にはFuzzy制御を適用する効果を発表した。次に,大正時代の日本で最初となる第1回と第2回国勢調査の結果により居住地のドーナッツ化現象が明らかにされており,その定量的表現手法の研究に着手したなかで当時の宅地開発がコンパクトシティの起源になっていることをあきらかにした。
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