研究課題/領域番号 |
20K02169
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
時安 邦治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (80386797)
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研究分担者 |
西山 哲郎 関西大学, 人間健康学部, 教授 (10263188)
宮本 真也 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (30386429)
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
谷本 奈穂 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90351494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シティズンシップ教育 / 共通善 / ロマンティックラブ・イデオロギー / 結婚 / 身体 / フォーディズム / 社会的承認 / アクセル・ホネット |
研究実績の概要 |
2022年度には以下の4点の研究成果があった。 時安邦治(研究代表者)は第94回日本社会学会大会(東京都立大学)において「シティズンシップ教育と3つの政治」と題する研究発表を行った。社会において多様な人々が共同して生活することの価値を子どもが理解することがシティズンシップ教育の目的であり、個人の尊重と社会的目標の両立を求めるゆるやかな共通善の政治が必要だと論じた。 谷本奈穂(研究分担者)は『現代思想』9月号(青土社)で「ロマンティックラブ・イデオロギーというゾンビ」という論考を発表した。雑誌記事の調査結果などから、結婚が恋愛を正当化するロマンティックラブ・イデオロギーが、恋愛が結婚を正当化するロマンティックマリッジ・イデオロギーに変容したことを論じ、親密な関係性において暴力の作動や多様な関係性が見失われる危険性を指摘した。 また谷本は福間良明編『昭和五〇年代論』(みずき書林)に「昭和五〇年代の美容言説」を発表した。昭和50年代の美容言説の分析を通して、主として女性の身体に関わる意識を明らかにし、身体か徐々に管理されていく様を明らかにした。 宮本真也(研究分担者)は高馬京子・松本健太郎編『〈みる/みられるのメディア論〉』(ナカニシヤ出版)に「『見える』/『見えない』の社会理論」を発表した。すでにある偏見、先入観によって、他人のことが社会空間において「きちんと見えなくなる」という状況をとりあげ、それをアクセル・ホネットによる社会的承認論の視座から考察した。そして認識の作用に還元しえない「見えない」ということをめぐる社会的な病理を可視化するために、私たちのコミュケーションにおける「承認」の社会理論の必然性について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国内および国外での調査活動や対面での研究会が行えていないため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍であることから国内および国外での調査活動が十分に行えておらず、予算についても執行できていない額がかなりある。2022年度で終了する予定の研究計画であったが、2023年度に部分的に予算を繰り越し、研究を継続することを考えている。ワクチン接種が進み、経口治療薬の特例承認がなされていることから、2023年度になれば国外での研究活動も十分可能になると予想している。 なお現在、2022年には研究組織のメンバーが日本社会学会においてグループでの学会発表を実施する計画を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、予定していた国内および国外での研究・調査が実施できなかった。また、それにともない、国際社会学会での研究発表も見送らざるをえなかった。以上の事情から、旅費および物品費の未使用額が大きくなった。 可能であれば、2023年度まで研究期間を延長し、未使用額を使用して研究を行い、研究成果の公表につなげることとしたい。
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