本研究の目的は、過去数年間に進めてきた、欠損値を含む社会調査データ分析のための新しい手法をさらに拡張し、手法の改善とその有効性の検証を推進することにある。本プロジェクト最終年度である2023年度には、主に以下の2つの課題、(1)前年度までに国際学会において報告した成果を論文(英語)としてまとめ公刊すること、(2)欠損値を考慮した縦断データの統計分析手法を社会調査データ分析に応用しライフコース分析を行うこと、に取り組み成果をあげた。本研究は海外の研究協力者との学際的国際共同研究により推進することから、研究メンバーが責任を持って研究遂行しつつ、研究会や学会参加を通じて本格的・集中的な議論を行い進めてきた。2023年度は、2022年度以前にあったコロナ禍による種々の移動の制限も緩和されたため、海外共同研究者と本格的・集中的な議論を行うことができ、2022年度に国際学会において報告した長期的な subjective well-being の変化に関する成果を、さらにフィードバックコメントや査読を検討しつつ改善させ公刊に結実させた。第二に、新たな社会調査の縦断データへの手法の応用に着手しつつあり、学際的・国際的に研究を遂行し議論する中でデータ分析の課題や社会における職業構造や家族・ジェンダーに関連する社会学的インプリケーションをより深く検討することが可能となり、研究の進化につながったと考える。
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