研究課題/領域番号 |
20K02172
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
斎藤 真緒 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70360245)
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研究分担者 |
宮川 淑恵 (濱島淑恵) 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (30321269) [辞退]
津止 正敏 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70340479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ケアラー支援 / 男性介護者 / 子ども・若者ケアラー / 家族ケア規範 |
研究実績の概要 |
これまで継続してきた子ども・若者ケアラーの事例検討を、国際学会で報告し、国際的な研究ネットワークを構築することができた(Mao Saito and Yu Kasai, The Reality for Young Carers in Japan, in:3rd International Young Carers Conference, 3rd May 2021)。また、この学会参加を通じて、子ども・若者研究に関する当事者参画型のアクションリサーチが日本を含むアジア諸国では遅れていることを痛感し、単なる事例検討にとどまらない、当事者参画型の研究プロジェクトの立ち上げに着手した(「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクトYoung Carers Action Research Project; YCARP」9月25日発足)。 5年間続けてきた事例検討の成果については、共編著として出版し(『子ども・若者ケアラーの声からはじまるーヤングケアラー支援の課題』クリエイツかもがわ)、2022年2月には、出版機変シンポジウムも開催し、80名以上の参加者を得ることができた。また、ジェンダーという観点から、ケアラーの多様化を分析した論文も発表することができた(「子ども・若者ケアラー支援から考えるケアの政治―ケアラーをめぐる政治の射程」冨士谷あつ子・新川達郎編『フランスに学ぶジェンダー平等の推進と日本のこれから―パリテ法制定20周年をこえて』明石書店)。 今後は、ヤングケアラー支援をめぐって注目されているWhole Family Approachをめぐって展開されている家族にかかわる記述のポリティクスに注目することで、本研究課題である家族ケア規範のメタ分析をさらに深めることを課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の想定以上に、ヤングケアラーに関する社会的関心が高まっている状況にかんがみて、事例検討の成果を共編著として出版し、研究成果の社会的還元できたと考える。なお、出版のために当初予定していた予算を変更したため、次年度の予算が残らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予算がない中でも、新たな研究課題がいくつか浮上している。一つは、支援者主導型のヤングケアラー支援に関する政治論議が活性化する現在の状況にかんがみ、当事者参画型の政策立案の在り方にかかわる課題の抽出が研究課題としても急務であると考える。 もう一つは、いわゆるヤングケアラー支援と他の世代のケアラー支援の「分断」ともみえる現在の政治状況にかんがみ、ケアラー支援に関する記述のポリティクスを緻密に分析することが今日的課題としても重要であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度として、研究成果を仕上げるための書籍購入を中心とした使用と予定している。
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