研究課題/領域番号 |
20K02178
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鶴田 潤 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 准教授 (70345304)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アピアランス・ケア / ボディ・イメージ / 受容 |
研究実績の概要 |
本年は、義歯利用者・歯科口腔疾患患者が直面する問題点の抽出、義歯利用者・歯科口腔疾患患者の社会的状況に関する歯科保健医療者の意識調査、社会的基盤に関する関連施設調査などを行う予定であったが、Covid-19の影響により、市民・患者・歯科医師・レストラン業界においては平時の活動状況ではなくなり、調査時期を検討し直す必要が生じた。そのため、本年度は、調査の前提となる先行研究例の調査を主とした活動とすることとし、義歯利用者・歯科口腔疾患患者の問題因子として考えられる、顔貌・臭い・痛み・機能不全などの関連研究として、歯科領域の報告や歯科診療成果としての患者満足度ではなく、一般的な社会との関わりとしての患者考察を行った研究について調べた。患者の社会受け入れ状況に関しては、がん患者の社会復帰に関する取り組み・生活の再構築が参考事例として得られた。また、顔貌変化に関しては、顎顔面補綴・矯正患者の社会復帰に関する取り組み、がん患者のアピアランス・ケアの観点からオレンジクローバーなどの社会的サポート活動の実際、先行研究例が得られた。またボディ・イメージに関わる心理学的考察については、顔および下半身に関する満足度が、自己評価など社会的適応に関わる因子に関係すること、外観・構造や機能の変化が自己受容の関わりに影響することなどの先行研究を分析した。臭いの観点では、周囲との関係により口臭症の影響にて患者の行動変容が不安や抑うつ傾向になることや体臭・口臭に対する文化的受容に関する先行研究を分析した。次年度、義歯利用者・歯科口腔疾患患者が関わる問題点や歯科保健利用者の意識に関しての調査(アンケート・FGD)を進める際には、これらの先行研究報告・活動報告で得られた知見やツール(ボディ・イメージ・アセスメント・ツールなど)を総合的に捉え、FGDの実施、質問項目・分析項目を設定することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19の流行・東京地域における緊急事態宣言などの影響により、研究対象者であった市民・患者・歯科医師・レストラン業界においては、平時の状況での調査ができない状況となってしまった。このコロナ禍が一過的なものか永続的なものかの判断ができず、まずは、社会情勢がニューノーマルとして落ち着きを取り戻すことを期待し、次年度の一定の時期に調査を行うべきと判断した。また、同時に、研究代表者自身を取り巻く職場環境において、Covid-19への対応による研究活動の制限、緊急対応業務への業務負荷の増加などにより、当初のエフォート実施が不可能となり、やむなく研究計画の変更を行うこととなり、先行研究の文献調査を主とした活動とした。また、海外の協力大学として予定していたKing’s College London歯学部については、関係者との連絡は継続していたものの、ロンドンのロックダウンや大学運営方針により通常の協力関係が維持できず、予定調査を行うことを延期した。これらの理由により、当初計画していた調査(アンケート・FDG)の実施が延期となり、計画では1年目に得られていたはずの研究結果を得ることができていない状況となっている。そのため、本報告における自己点検評価として、「遅れている状況」と報告する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、1年目に、義歯利用者・歯科口腔疾患患者を取り巻く社会的状況の調査を主とした活動とし、義歯利用者・歯科口腔疾患患者が直面する問題点の抽出、義歯利用者・歯科口腔疾患患者の社会的状況に関する歯科保健医療者の意識調査、義歯利用者・歯科口腔疾患患者の社会的基盤(施設・対応)に関する関連施設調査およびヨーロッパにおける義歯利用者・歯科口腔疾患患者の社会的受現状況調査、それら結果を踏まえたシンポジウムを行う予定であった。2年目には、義歯利用者・歯科口腔疾患患者に対して必要な社会基盤の現状調査、東南アジアでの調査を行う予定であった。前述の通り、1年目の調査が行われていないことから研究計画の変更を行い、2年目に、国内における1年目予定内容・2年目予定内容(外食産業)の調査までを実施し、2年目予定の分析活動については、3年目に移行する。また、国外調査としては、事態が鎮静化している国を優先して、可能な範囲での研究を遂行する。調査活動について、アンケート調査は予定通り郵送・Web調査を行い、FGD調査については、Webシステムを利用した調査に変更する。海外学会での発表報告についてはWeb開催での発表方式、シンポジウムの開催についてもWeb開催とする予定とする。
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