研究課題/領域番号 |
20K02182
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山下 亜紀子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (40442438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 家族支援 / 発達障害児 / 地域社会 / ドゥーリア |
研究実績の概要 |
本研究は、発達障害児の地域社会型家族支援システム「ドゥーリア」モデルを構築することを目的としている。研究課題としては、現状分析として、第1にわが国の障害者家族の支援政策の特徴の明確化、第2に発達障害児の家族に対する地域社会における支援実態の明確化、第3に発達障害児の家族のQOL(生活の質)の実態の明確化を設定している。これらの現状分析をふまえ、地域社会型家族支援システムとして有効な「ドゥーリア」モデルの具体的内容を検討する予定である。 2023年度は、(1)発達障害児の家族がおかれている社会的排除の状態の要因分析、(2)障害児家族支援政策の国際比較調査(台湾)の2点を研究として実施した。 (1)については、これまで実施してきた母親の実態調査から、母親がさまざまな面における生活困難があることを踏まえ、その要因について理論的検討を行った。理論的な検討を試みた結果、日本社会の家族のあり方(肥大化する母親役割)、日本社会における福祉の仕組み(家族主義の強さ)、ケアラーの特質(ケアに応答するがゆえの不平等な立場・透明な自己)の3点を、社会的排除ともとれる状態に陥る要因としてあげた。この分析結果は、『社会分析』51号にて論文として発表した。 (2)については、日本の障害児家族支援政策の特徴の分析の基礎資料とするため、台湾における家族支援政策や家族支援実態の調査を行った。また台湾における障害児に関する研究者との研究交流も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、これまで行っていた調査をもとに分析と論文の公表を行い、国際調査を実施することができた。しかし、2022年度までに予定しており、Covid-19により、遅れていた調査、分析のすべてを実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、発達障害児の地域社会型家族支援システム「ドゥーリア」モデルを構築することを目的としている。4年目となる2023年度は、(1)発達障害児の家族がおかれている社会的排除の状態の要因分析、(2)障害児家族支援政策の国際比較のための台湾における調査に取り組んだ。 今後は、障害者家族支援政策の国際比較調査の継続、地域社会における家族に対する支援実態の調査を継続して実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初実施を予定していた調査や分析が、2022年度までにCovid-19の問題のために遂行できなかった。あわせて、学会がオンライン開催やハイブリッド開催となったものもあり、旅費が不要となったものもあった。これら遅れていた調査分析のすべてを2023年度中に遂行することはできなかった。 使用額の使用計画:2020年度~2023年度の間に遂行できなかった調査の旅費、また調査の分析やまとめにかかる費用、さらに学会参加の旅費に充当する。
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