研究課題/領域番号 |
20K02184
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
小尾 栄子 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (80369503)
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研究分担者 |
須田 由紀 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (20352809)
丸谷 美紀 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (50442075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 在留外国人 / 母子支援 / 官民連携支援 / 保健師 / 支援ニーズ / インフォーマルな支援 / 支援モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、在留外国人への官民一体の母子支援の在り方を探るための三つの研究目的、①在留外国人への母子支援における保健師(官)とインフォーマルな支援(民)の各々の役割について明らかにする、②官と民の支援が連携・協働した官民一体の連携母子支援モデルを構築する、③官民連携母子支援モデルの実践(介入)と評価を行い、より効果的な支援モデルを検討する、としてきた。しかし、2020年1月からのCOVID-19のパンデミックにより全国で「緊急事態宣言」が発令され、安全性が確保されるまで対面インタビューによる調査は実施を見合わせ、研究計画を次のように修正・変更した。 研究方法:1年目はWeb会議等で文献レビューを深め、研究実施の安全性を重視し今後の調査を主にon-line中心による実施への検討を行った。研究1年目~2年目(2020~2021年度)には研究者間で文献の集積と分析を継続しつつ、より安全な情報収集を検討する。また、文献等の吟味の結果、在留外国人の母らの支援ニーズと、官民母子支援者らの母子支援の実態の現状と課題を、国籍の限定(ベトナム人(仮)を想定)を図る調査へと変更した。 3年目(2022年度)に計画した在留外国人母子グループと支援者グループ(官民支援者)へのフォーカスインタビューは困難と予想され、SkypeやZOOM等のより安全な方法を検討した。官民連携母子支援モデルは、収集可能なデータから好事例を抽出し構築を図る。また、官民連携支援モデルはガイドライン作成を最終とし、介入は困難と考え実施を見合わせる。 4年目(2023年度)は、官民連携母子支援モデルのガイドラインをパンフレット等の成果物にし、調査済みの地域にて支援モデルの実践を依頼し評価を試みる。実践例があれば、実践前・中・後の、在留外国人の母らと官民支援者らの変化や満足した内容、課題についての調査、モデルの評価を見込む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年1月からの予期せぬ世界的なCOVID-19のパンデミックにより全国で「緊急事態宣言」が発令されたため、当初計画していた在留外国人と官民支援者への個別のインタビューによる調査は、安全性が確保されるまで実施を見合わせたり、研究計画の修正・変更が余儀なくされたりするなどの大きな影響があった。 また、研究代表者の職場環境において、2020年度に2人分の人的資源不足が発生した。一つは本研究の共同研究者の急な退職、もう一つの理由は部署内の退職者の補充が間に合わないための欠員であった。そのため研究者らの研究活動に充てるための時間不足が著しかった。2021年度においても欠員の補充が叶わなかったため、研究者の人数に見合った研究計画に変更する必要がある。 さらに、2021年3月、研究代表者が上肢を負傷(骨折)し、現在も情報機器操作が困難となっている。完治は6月の見込みであり、その間、計画遂行が遅れると予測される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の三つの研究目的である、①在留外国人への母子支援における保健師(官)とインフォーマルな支援(民)の各々の役割について明らかにする、②官と民の支援の連携・協働した官民一体の連携母子支援モデルを構築する、③官民連携母子支援モデルの実践(介入)と評価を行い、より効果的な支援モデルを検討する、のうち、COVID-19の影響と、研究代表者の研究環境、傷病等を踏まえ、計画を実施可能にするため以下のように修正、再構築していく。 1.データ収集等は、研究計画遂行上の安全性が確保されるまで緊急事態の動向に合わせ、今後は主にon-line中心による実施を検討する。よって、研究1年目~2年目(2020~2021年度)には、文献検討の継続と、GISシステムを活用した国内の在留外国人の集住地域の明確化により、効果的な情報収集の地域を明らかにする活動を含め、実施可能な研究方法の検討を継続する。 2.文献等の吟味の結果、在留外国人の母らの支援ニーズと、官民母子支援者らの母子支援の実態の現状と課題を、国籍の限定(ベトナム人(仮)を想定)を図り調査することを模索する。 3.3年目(2022年度)に計画していた在留外国人母子グループと、支援者グループ(官民支援者)へのフォーカスインタビューは、SkypeやZOOM等の安全な方法を検討する。官民連携母子支援モデルの構築には、収集可能なデータから好事例を用いて検討する。官民連携支援モデルはガイドライン作成までを達成し、研修等のモデルの介入は感染拡大防止の観点から実施を見合わせる。 4.4年目(2023年度)には、官民連携母子支援モデルのガイドラインをパンフレット等の成果物として作成し、調査済みの地域にて支援モデルの実践を依頼していく。実施例があれば、実践前・中・後の、在留外国人の母らと官民支援者らの変化や満足した内容、課題について調査しモデルを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度(2021年度)使用額の使途の見込みとして、●文献検討のための書籍購入費用、●文献の複写と取り寄せに罹る諸経費、●文献データの集約のための事務費用(入力スタッフの人件費等)、●文献検討結果を保存するデータ集積媒体の購入、●GISシステム稼働のためのシステムエンジニアによるスーパーヴァイズ等の技術指導の研修費、●on-lineインタビューの実施が可能となった場合の、文字起こし(反訳)データ作成のアウトソーシング費用、●研究参加者のon-lineインタビューのon-line環境が不足している場合の貸出端末の整備、●on-lineインタビューの際の通訳者およびデータに外国語が含まれた場合の翻訳費用等の人件費、●検討結果を学術誌に投稿するための必要経費等の請求が見込まれる。
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